「TAP THE LAST SHOW」








水谷豊さん初監督作品です。
公演中の大怪我により舞台に立てなくなったという過去を持つ
伝説の天才タップダンサー水谷さんは
共にショーを作ってきた興行主の岸部一徳さんから
劇場を閉めるので最後にタップダンスのショーを興行したいと持ちかけられ、
演出担当を承諾する。
彼等の元に無名の若手たちが集まり、オーディションがスタートするが…
というあらすじ。

タップダンサーたちの抱える問題が、ものすごく書割的で、
むしろないほうがよかったのでは…という感じですが、
最後のタップダンスショーは圧巻です。
興行に色々と障害があって、演者にも苦悩があり…という流れは、
おじさまの昭和懐古趣味のつまった「SING」という感じ…。
あと「相棒」の右京さんと官房長の転生パラレルという楽しみ方もあります。
(六角さんも出演されてるのでますますそんな感じに)

オチばれ
いやもう同じ瓶で酒を飲んだり、手を繋いだり、
同人誌でもちょっと躊躇ってしまうパッション先行ぶり。
でも何回転生しても官房長は右京さんを置いて逝ってしまう…。

妊娠した彼女が子供を産みたくて水商売のバイトを、とか
おばあちゃんが認知症で、とか
親がダンスを許してくれなくて喘息持ちで、とか
なんか根本的には何も解決してないというか、
あの男の子がいま貧乏しているのは、
水谷さんが養育費をビタイチ払ってないせいで、
学歴人生ゲームの初期段階から躓いてしまったせいでは…?
俺の知らない所で成長していた息子が俺の夢を受け継ぐ…
とかおじさま大好物ドリームにうっとりしている場合ではないのでは…
あとこの映画の中で一番救済されるべきなのは
何らかの精神の病を抱えた弟と、認知症の祖母を1人で介護して
潰れそうになっているお姉さんなのでは…タップとかそれどころではないのでは…
ってモヤモヤしました。
舞台を見て1日は楽しくても、生活はその後ずっと続くわけですし…。
ダンサーたちの問題はもうちょっと軽めの方がよかったのではないか。
最後のショウシーンがよかったので、雑念なく楽しみたかった。









2017.07.03 サイトに掲載

2018.01.30 再掲載





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