「ハクソー・リッジ」








メル・ギブソン監督。
信仰を理由として敵の殺害と武器の携帯を拒否したデズモンド・T・ドスが、
上官と仲間から軽蔑を受けながらも
沖縄の前田高地での戦いで衛生兵として目覚ましい働きをした、
実話を元にした映画です。
カトリック教の熱心な信者である監督に相性のいい題材ですね。

アメリカ人の視点なので、日本兵がすごいこわいです。
(そしてネイティブな日本語を喋ります)
アメリカ人も日本人も機関銃掃射や爆発で体が欠けまくり、
臓物がまろびでて、表皮は焦げ、小動物が集い、地獄絵図です。
前田高地は激戦で有名で、
浦添市が映画公開に際して出したメッセージも読みましたが
浦添村の住民の、戦闘の巻き添えの死亡者の率は44.6%とのこと。

ラストばれ

色々考えてしまって、なかなか1つの意見になりません。
とりあえず日本版キャッチコピー
「世界一の臆病者が、英雄になった理由とは」
分かる。1秒で認識できて人の興味を引くような言葉にしないと
いけないのは分かるんだけど、でもあんな鬼神のようなひとを
臆病者とか私ならこわくて言えない。

アンドリュー・ガーフィールドさん、
「沈黙」に続いてまたもや神に問いかける役ですが、
内に考えを巡らせる演技が良かったです。
父親のヒューゴ・ウィーヴィング氏の演技も良かった。 DVエルフ!
女性キャラクターはクラシックな描き方をされています。
初デートで男が強引なことをして女性が怒っても
内心は喜んでいるのだ、みたいな演出はどうかと思う…が、
監督の年齢を考えると仕方ないな。

高地では、宗教的な意味での奇跡が起こったと考えざるを得ない。
1人高地に留まったデズモンド・ドスは75人の負傷兵を救出しますが、
味方の爆撃も敵の銃弾にも当たらなかったミラクルと、
75人を救出する体力が捻出できたミラクル、
複合的な奇跡によって彼はそれを成し遂げたとしか。

武器を持たないけど、家にいるのは嫌で自分も闘いに参加したいとか、
最初は私も「この人迷惑だなー、軍の半分がそういう主義のひとだったら
機能するか考えてみなよー」って思ってたんですが、
チームの皆さんや上官が自主退役してもらおうと必死なのに、
全然、まったく、人の意見も恋人の説得も聞かず
自分の意志をミリほども曲げない様子をみているうちに、
いや、なんかこのひと普通のひとじゃなくて…という気持ちになってきて、
あ、奇跡ってこういう並外れた強者にしか召喚できない事象なのかも
って思いました最終的に。
(現実のデズモンド・ドスさんではなくこの映画内の話)










2017.06.27 サイトに掲載

2018.01.30 再掲載





戻る