「メッセージ」








ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
テッド・チャン原作

世界の12か所に巨大な飛行物体が停泊し、
各国は対応に追われる。
言語学者である主人公は軍からの依頼で、
地球外生物の目的を早急に突き止めるべく
彼等とコミュニケーションをとりはじめる。
彼等の使用する音声言語も表意文字も酷く複雑なもので、
言語学者チーム、物理学者チーム、共に捗々しい結果を出せずにいた、
というあらすじ。

観客の1割くらいに
「えっ?結局どういうこと?」と言われてしまう類の話で、
好き嫌いが分かれると思いますが私は好きです。SFだよ!

オチばれ注意!

ファーストコンタクトの面白さ4割、
叙述トリック6割くらいの配分になっているので
私は脊髄反射で30点を更に加点。伏線大好き。

物語のパターンとしてとても変わっていて、
彼女は名誉と幸福な家族を手に入れるけど、
でもそれは半分失われる事が確定していて彼女は納得している。
ハッピーエンドともアンハッピーエンドとも言えない。
あと彼女には専門分野の才能があって、
それはどんな異様な概念でも状況でも
嫌だとか理解できないとかは考えずに一旦は受け入れるという才能で、
ある意味人間離れして強い。ちょっと共感の難しい主人公なので、
そこに違和感を覚えるひとは(彼女の夫が感じたように)、
この映画駄目だろうな、と思います。

ヘプタポッドの文字が美しく、彼等の声、劇伴音楽も良かった。

原作はもっと淡々とした話で、パニック描写もないし、
宇宙船は攻撃されないし中国の将軍の話もない。
あと娘の死因と死亡する年齢が違う。
これは原作通りの死因だと、
阻止できるのではないかという雑音が発生するので
映画では変えて正解だったと思う。
離婚の理由もアレンジしてありますが、
これもまたよい改変だと思う。
フラッパーとラズベリーという名前が
コステロとアボットに変った理由は分からないけど、
コメディアンのコンビなんですね。

あ、でも映画世界では未来において
ヘプタポッドの文字をマスターできた人って物凄く少ないのかな?
でないと彼女が孤立無援である理由がないもんね。
原作はそこのところ曖昧。

世界12か国の中に日本が入っていて嬉しい(北海道!)。
ようこそ!ちょっと炙ったら酒の肴になりそうだなとか考えてないよ!









2017.05.18 サイトに掲載

2018.01.30 再掲載





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