「乱鶯」








今回は脚本が中島さんではなく倉持裕さんという方でした。
演者はいつもと同じ、演出もいのうえさん、中島さんの本に似せて書いてある、
それにもかかわらず、あーやっぱり違うなーって思って見てました。
どうしてこういう状況になったのか、という説明がとても丁寧で、
たぶん中島さんなら3分の2くらいの長さだろうなというシーンが多かった。
いつもは群像劇のような仕上がりで、特に客演のかたに華を持たせる傾向があるので
だれが主人公でもおかしくないのですが、
今回は完全に古田さん演じる盗賊が主人公で、周囲のキャラクターは
その格好よさをひき立てていた。
恋愛がとても丁寧に描かれていて、いい感じでした。

鶯の十三郎という男は、盗みに入る商家で殺生をせず、
鮮やかな手並みで仕事をする盗賊として有名だった。
しかしある日公儀の罠によって追い詰められ、
瀕死の重傷を負って死にかけていたところを
偶然通りかかった目付の小橋貞右衛門に介抱され、
小料理屋のつるたやで数日看病されて命を救われる。
それとなく正体を察した貞右衛門に、足を洗うよう諭され
十三郎は自分を救った貞右衛門と、
つるたやの夫妻に恩返しをしようと決意する、というあらすじ。

めちゃくちゃ強くて正義感も強い、でも普段は謙虚で目だたない、
義理堅くて忍耐力もある完璧超人の十三郎と、
気は強いけど女性らしさもある、
未亡人になったつるたやのおかみ(稲森いずみさん)との
ラブストーリーがメインです。
(亡き旦那さんが粟根さんで、化けて出て十三郎を応援してくれるんですが、
久しぶりに粟根さんをいっぱい見られて嬉しかった!スーって消えちゃうの地味に凄い!)

結末ばれ

あといつもは悪役にもどこか面白いところがあるんですが、
今回は本当に悪でした。
橋本じゅんさんの完全悪役って久しぶりというか初めて見たかも。

黒幕は「相棒」の三浦さんなのですが、どこか三浦さんの面影を見てしまって
悪い人に見えにくかった。
ところでどうして呼ばれたら来ちゃうんだよ!(笑)
映画「羊たちの沈黙」のラストみたいだなーって思ったり。
でも結局あの悲劇を引き起こしたのは、
十三郎がおかみさんに何も知らせず1人で解決しようとしたせいで、
おかみさんの台詞にもあったように、いい嘘でも悪い嘘でも、
嘘はいけないというのがテーマだと思っていたので
真逆のラストでちょいとびっくりしました。

丹下屋の全滅が腑に落ちなくて、
半数くらいは小橋Jrの頑張りで命を救われたことにしたほうがよくない?
って気がしました。

ラストはそんなに明るくないです。
でも「蜉蝣峠」や「朧の森に棲む鬼」ほど鬱でもない。









2017.05.01 サイトに掲載

2018.01.30 再掲載





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