「はじまりへの旅」 (原題: Captain Fantastic) 政府と社会に敵意を持つキャッシュ家の父は 6人の子供を森の中で文明から隔離して育て、 肉体的な厳しい訓練と、あらゆる文化的な知識教育を施していた。 ある日、双極性障害を患い実家で静養していた一家の母親が 自殺したという知らせが入り、 火葬を望んでいた仏教徒の彼女の遺体が、義父によって 教会で葬儀を行われ土葬されると知った一家は、 母親の遺体を取り戻すべく、森を出て都会に乗り込む、というあらすじ。 ヴィゴ・モーテンセン主演。監督脚本マット・ロス。 近代的な生活を一切知らない子供たちが、 水洗トイレや電化製品やテレビに驚いて騒動を巻き起こす的な ほんわかコメディ映画だと思ってたら全然違った。 コミカルではあるんですが、時々「うーん…」っていうシーンがあって、 都度色々考えちゃうんですよ! 内容ばれ 森で草食動物を狩って自分達の手で解体し、 格闘術を身に付け、あらゆる書物を読み、幾つもの言語を学び、 火を囲んで楽器を演奏し、家族で歌うというのは おとぎ話のような風景だと思いました。 でも読んだ本の感想をあんな風に口頭で、すぐさま言わされるのは嫌だ。 しばらく考えないと身に入ってこない本もある。 (あらすじ語り禁止、「興味深い」って感想禁止は笑いましたけど) お父さんの行動には下記に書いた通り色々問題があるのですが、 ヴィゴのヴィゴりょくにより、押し通った感じ。 終盤ヒゲとか剃ったりして、 うわー!これでもうすぐ還暦なのかー!まじかー!ってなりました。 でも、お義父さんを、かわいそうなヴィゴをいじめるブルジョアおじいではなく ちゃんと好ましい人物に描いていたのには好感がもてました。 「社会活動は消費だけ」っていう大衆批判は耳に痛いです。 浅学にしてノーム・チョムスキーを知らず、ざっと調べたら面白かった。 あとSweet Child o' Mineを検索したら、知恵袋に 「ガンズ&ローゼズの曲で、チャラララチャラチャラ〜と 前奏でギターのソロが長いこと続く曲のタイトルは何? 」 っていう質問があってふいた。ファンはそれだけで分かるもの!? 正論アワー&ラストばれ ダイナーに入ったとき、子供たちが ホットドックやパンケーキを食べたがったのに、毒だからと食べさせてあげなかった件、 チョムスキー祭りで食べたケーキと生クリームの方がよほど体に悪そうに見えるけど、 あれは結局子供を自分の命令に従せるのが快いだけなのでは? スーパーで、子供達と一緒に盗みを働いた件、 随分盗み慣れているけど、「人民に力を」じゃないの? 人民同士で食い合いをするの?あのスーパーは巨大資本だからいいのかな? 普段も個人経営のスーパーからは盗まないの? 盗んでいいスーパーと駄目なスーパーは誰がどういう基準で決めるの? あとホラー映画だったら泥棒したやつは死ぬ。 権利章典の内容を把握してない甥っ子を鼻で笑い、 自分の幼い娘に暗唱させ考察させますが、 甥っ子が知っていて、自分の子供たちは知らない知識もまた膨大だと思います。 何より悪いのは文化的に造詣が深くない人を見下す姿勢を継承してしまう事、 あと他の子供と接する機会を奪って対人関係構築の勘やスキルを潰してしまう事。 あの暮らしが虐待か虐待じゃないかで言えば私は虐待だと思う。 父親がバカにしている某宗教の原理の人たちがコロニーを作って子供に施している教育と 皮肉なことによく似ていると思う。 というか奥さんは早期に入院して適切な処置を受けていれば 死なずに済んだのでは?それが幸福かどうかは別問題だけど。 最後、お父さんバンザイ!お父さん大好き!今まで通りずっと一緒だよ! で終わったらどうしようと思ってましたが、中庸の生活に変化してよかったです。 2017.04.12 サイトに掲載 2018.01.30 再掲載 戻る |