「ゴースト・イン・ザ・シェル」 「攻殻機動隊」のハリウッド映画化です。 私は原作のめんどくさい原理主義で、押井さん、神山さん、冲方丁さん(脚本)による 映像化すべて、「うん……」って感じで見守ってきました。 今回もまあ「うん……」という感じですが、 アニメが二次創作とするなら、今回の実写は三次創作という気がします。 原作未読、アニメ未見のかた、または 原作およびアニメの、人物&テクノロジーのビジュアル面が好きなかたは 満足されると思います。 でも攻殻の、想像科学技術の最先端の部分や、 膨大な設定に支えられた世界観、 軍事、諜報の危ういバランスで成り立っている緊張感、 感情ではなく利で動き、 個ではなく盤面のなかの一部分として機能するプロフェッショナルな人々が好きなかたには、 残念ながらいまひとつかも…。 肉体の一部分を機械化して機能を向上させるテクノロジーが定着しつつある近未来、 テロの攻撃を受けた難民ボートに乗船していたミラは、 一命を取り留めたものの、肉体の損傷が激しく、脳以外の生体を機械化していた。 彼女は公安9課に所属し、日夜テロ対策に追われていた。 ハンカ・ロボティックス社重役の暗殺事件を捜査していた彼女は、 その殺人には裏があることに気付くと同時に、 事件と自身の関わりについて知る事になる、というあらすじ。 内容ばれ 不倫で干されてたルパート・サンダース監督やないですか! 復帰しとったんかワレ! 「機械に同情心はない」とか「あなたは人間よ」みたいな序盤の台詞で、 あ、はい、昭和のあたりまで戻るのね合点承知。と思いました。 その代り、都市の3D広告を始めとする、画的な完成度は高かった。 (近年のSFでは3D広告や拡張現実による公告は美しくないよね、という流れのようですが) (まあそれは小説の話なので、絵的には巨大広告でのインパクトを狙いたくなるのは分かります) 細かくアニメねたが入って、ビジュアル面でのリスペクトを感じます。 (あ、バセット・ハウンドは飼うのが難しいヨ!って一言ほしかったかも…) 登場時から「このひとがトグサでないといいな」と思った人がトグサだった(笑) バトーの目…?と思ってたらあとで付いた。 イシカワとサイトーについては、随分遅れて気付きました。 ビートたけしさんはずっと日本語で喋ってた。彼以外は英語。 母親役で桃井かおりさんが出てます。 EDに傀儡謡が流れて「えっ」って思った。 日本ではビートたけしさん効果と攻殻ファンで健闘すると思いますが 世界的には興行成績が振るわず、それは日本人設定の少佐を 人種の違うスカヨハが演じたせいだと言われています。 でもそれには理由があったし、スカヨハは、ちゃんと少佐だった。 思うにあまり尖りすぎると大衆受けしないからと、丸めすぎたのではないか? SF部分をふわふわにしすぎたのではないか。 約25年前に出版された攻殻以降、 あれを塗り変えるキャッチーでオリジナルなSF世界・システム・テクノロジーを 私はまだ見ていないのですが、もうそろそろ更新されてもいいんじゃないかと思います。 同じく士郎正宗さんの「仙術超攻殻ORION」(これも25年以上前)とか、 神話神道の理をデジタルテクノロジ−で分解した、 ちょっと似たもののない世界観なので、映像化したら面白いと思うんだけど、 関西っぽいコミカルなシーンが特に多いせいか、 今のところ何の企画も聞こえてこない。 そういえば攻殻も、何度映像化されてもコミカルな部分は いつもばっさり切り落とされるけどなぜだ。 2017.04.10 サイトに掲載 2018.01.30 再掲載 戻る |