「パッセンジャー」 移民5000人を乗せた宇宙船アヴァロン号。 乗客は全員120年間冷凍睡眠し、目的地に到達する直前に目覚める筈だった。 しかしポッドの故障によってエンジニアのジムだけが目覚めてしまい、 彼は無人の船内をさまようが、やがて今後90年間1人で生き、 孤独のうちに死ななければならない自分の運命を悟って狂乱する、 というあらすじ。 SF7割、ラブロマンス3割くらいかなと思っていたら、 ラブロマンス8割、SF2割だったでござる!! この脚本を書いた人は「プロメテウス」の脚本も書いているのですが、 技術部分がダイナミックすぎてSFが好きなのか嫌いなのかよく分からない…。 でもとりあえず宇宙船にはバスケ!というこだわりと、 アンドロイド萌え属性があるのは分かる。 ラストばれ アヴァロン号内の内装が良かった。 豪奢な巨大建築物の中を1人の男がさまよってバーに辿り着き、 人間じゃないバーテンダーと会話するのは「シャイニング」を思い出した。 バーテンダーのアーサーは、限りなく人間らしくバーテンらしい発言ができるけど、 でもイレギュラーな問いかけにはふさわしい返答ができず、 結局は人間ではない感が滲み出ているのが良かった。 それでも人間が愛着を持って大切に扱っているのも。 「インターステラー」のお蔭で重力ターンが説明なくても分かった! でも「火星の人」を読んでいるので、食糧問題が気になって仕方なかった。 90年分の食糧…それはラストシーンで自給自足を匂わせているのかもだけど、 施設の老朽化や、自作できない消耗品、たとえば医薬品や交換パーツ、衣料は どうしてたんだろう。 演技が大変良かった。 ジェニファーのあの恐怖の演技。そして 「よい選択をされました」ってアーサーに言われたときの、 悪い事をしたと自覚している犬の目をしたクリス・プラット。 あと、オーロラが宇宙服を着る前にドレスを脱いだ時の 「はわわわ!」って顔が職人芸だった。可愛かった。 自殺にしろ埋葬にしろ、死体が残ってなかったら 訴訟がやりにくいので船内に残した方がいいのでは…と思いました。 これどえらい大事故だし、モリモリ賠償金がぶんどれると思うんですよね。血族が。 というかメンテナンス係として低料金クラスの客を1人起こすのは 元より織り込み済みで、契約書の末尾のほうに豆字で書いてあったのを 主人公が見逃したのだと、予告段階では思っていました。 (船員の居住空間のドアがあれだけ頑丈に作られている理由が謎) 関係ないですが船外キャッチはFF8のリノアキャッチゲームを思い出しました。 あと準光速30年の距離の電信が約60万円で送れるのは安い気がする。 よくなかった点 この話、オーロラが美貌ゆえに性犯罪の被害に遭ったようなもので、 種類としてはマイルドな拉致監禁なのですが、 あの結びでは、それでも犯人を愛する事ができれば幸せになれる、 最初は犯罪で始まっても誠意さえ尽くせば愛し合える、 と言っているにも近しいので、残念ながら私はアカンかったです。 孤独のあまり魔が差すというのは誰しもあるかもしれないけど、 真実を知らない状態のオーロラにノリノリで プロポーズしようとしてたところが受け付けない。 クリス・プラットは好きな俳優さんなので、 嫌悪感が若干軽減されたのは助かった。 レストランに書いてあった「幸せ遠征」は NICE TRIPとかを自動翻訳したのだろうか…。 こうすれば男女ともに機嫌よく見られるのではないかという、 「おれのかんがえたさいきょうのパッセンジャー」をまとめてみたので、 何か今ヒマだわーっていう人だけ見てください。長い。 一部関西弁注意。「パッセンジャー」という映画のねたばれです。 準光速で120年の距離があるコロニーまで 5000人の乗客を乗せて飛ぶ宇宙船アヴァロン号。 乗客はコールドスリープにより安全に目的地に運ばれる筈だった。 しかし不慮の事故でクリプラだけが目覚めてしまう。 目覚めたのが自分1人だけで、出発してからまだ30年しか経っておらず 再度コールドスリープに入る施設は船内にはなく、 残りの90年をずっと1人で過ごして死ぬのだと悟る。 ここまでは同じ。 冷凍ポッドの中の気が合いそうな男女7人くらいを脳内友達にして、毎日一方的に声を掛ける。 船内からアクセスできる個人データで調べた共通の趣味の話とか、家族の話とか。 ある日ポッドの仕様書を見ていて他の人をコールドスリープから 目覚めさせる事ができる、というのが分かる。 ジムとかサムとかジェニロとかを何度か起こそうとするけどやめる。 でもある日、日課になってきた解凍作業ごっこの途中で船体が揺れ、スイッチが入ってしまう。 ジェニロが目覚める。 クリプラ土下座して説明する。逆上したジェニロ、その場にあったバールのようなものを握って クリプラを追いかけ回す。思わず船室に逃げ込んで鍵を掛けるが、 膝を傷めて引退したアスリートのジェニロ、めっちゃ体力があるのでドアをブチ破って侵入してくる。 怯えて頭を覆っているクリプラ、でも泣きながら笑ってる。 なにを笑ろとんねんコラァ!と怒鳴るジェニロ。 あの、でも、この前見たホラー映画の「シャイニング」で、 ドアをぶち破って穴から顔出した頭のおかしいオッサンが、あんたにそっくりなんやもん… と泣きながら説明するクリプラ。 シアターがあるんか…ちょっとそれ見せてみ! となぜか2人で「シャイニング」を見る。 ほんまそっくりやな……とポップコーンをモリモリ食べるジェニロと、 ジェニロがまだバールのようなものを握っているので目が落ち着かないクリプラ。 なんかもう疲れたわ…寝るから個室に案内しろや!と寝に行ってしまうジェニロ。 それから2人の冷戦状態はしばらく続いて、 他の人のポッドにメッセージカードとかシールとかペタペタデコってあって、 独りパーティーの痕跡とかもあって、こいつも寂しかったんやな…と1ミリほど同情したりするジェニロ。 でも平穏は長く続かず、無事故を謳う移民船、実はこの手の事故は時々起っており、 会社は低価格冷凍睡眠ポッドの安全性を100%にするより、 事故を消去する経費の方が安価であるという理由から、 途中覚醒者や解凍失敗者を殺害して船外に放り出すプログラムをあらかじめ用意していた。 (低料金クラスの客は特に、親族も貧乏で訴訟に持ち込めないと踏んで) 船室から酸素を抜かれたり、飲料の供給を断たれたりしてピンチになる2人。 でもクリプラのトンチとジェニロの体力で切り抜ける。 そのうちに船内でデートしたりする。 しかしとうとう、クリプラは致命傷を負い、もう助からないという時、 1人分の肉体を、食料の牛肉などで質量嵩増しして、2人の死体だと船のAIに誤認識させるのに成功する。 (手とか足とか欠損した状態で、気絶しないように 麻酔と興奮剤をバンバン打って作業している。改造したアンドロイドのアーサーも手伝ってる) ジェニロは怒って 「なんでこんなことすんの!アホ!マヌケ!YOU DIE, I DIE!どつくで!」 と泣くが 「あんた結局僕のこと1回も殴ってないやん。怖ないわ」 とクリプラ笑って、 「ほんまごめんな起こして。謝ってもしゃあないけどな。ほんまごめん」 と最後に謝る。 それで、医療用の冷凍ポッドをこっそりとコツコツ改造していて、 船のOSがアクセスできない冷凍睡眠ポッドにできたから、 みんなより1日早く目覚めて、何食わぬ顔で混ざりなよね…と言い残して絶命する。 生き延びたジェニロ、宇宙移民の企業を訴訟で潰す。 インタビューを受けている部屋に、例のバールのようなものが飾ってある。 それでクリプラと思しき尊敬する男性のことを語って、 階級格差を容認する奴と貧困層から搾取する奴は許さない!てきなセリフで締める。 登場人物が関西弁であることにとくに意味はないです…。 2017.03.28 サイトに掲載 2018.01.30 再掲載 戻る |