「われらが背きし者」









「裏切りのサーカス」「誰よりも狙われた男」などの
超硬派スパイ小説で知られるル・カレ原作。
モロッコでの妻との旅行中にロシア人の男と知り合った大学教授の主人公は、
彼とテニスをしたりパーティーに招かれたりなどして親交を深める。
しかし実はロシアのマフィアの大物であった男は、
組織の情報と引き替えに、自身と家族の身の安全を
英国政府に要求しようとしており、主人公に助力を求める、というあらすじ。

登場人物の大半がエージェントであり、
覚悟の上で命の遣り取りをしていたこれまでの映画化作品とは違い、
主人公夫妻は大学教授と弁護士という素人なので、
すごく話が分かりやすいです。
ラノベの「俺、一体どうなっちゃうの〜!?」系というか。
でも大学教授とロシアンマフィアの友情ものだと思います。
(って書くとまるでBLですが)

内容ばれ

あのヘリのシーン、瞬間は映ってなかったけど、
地上から何か発射されたような音はしなかったし、
もとから爆発物が仕込まれていたか、
ヘリの発着位置が漏れてたのではと思います。

あれだけ頭のいいロシアおじさんと、
あれだけ用意周到なMI6おじさんがプロデュースした逃亡なのに、
娘の携帯電話とMI6おじさんの元上司くんお宅訪問で、
ものすごいヘタを打って台無しになったので、
なんでやねん!という気持ちです。
娘さんは素人の若い子だから仕方ないかもですが、
なんでMI6おじさんはわざわざ元上司の家に行って
「お前のやばい証拠握ってるぞバーカバーカ」などと
意味のない煽りをしたのでしょう…
そりゃあ相手だって何らかの手を打つよ…。

教授は正義感の強い人で、特に弱者が虐げられていると
自分の身の安全を忘れて立ち向かってしまう人。
ロシアのマフィアおじさんはそこに惚れます。
(たぶんマフィアおじさんの最初の殺人の件と重ねている)
なんとなく任侠映画の世界。

ル・カレさん原作映画でこれまで私が見てきたものの中では
初めて勧善懲悪と言えるラストかも。










2016.10.26 サイトに掲載

2016.12.30 再掲載





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