「駆込み女と駆出し男」








原田眞人監督・脚本
原作「東慶寺花だより」

公開当時とても周囲の評価が良かったので見ました。
劇場で見ておけばよかった!と思いました。
江戸時代に幕府公認の縁切り寺だった東慶寺を舞台に、
駆け込んでくる女たちのドラマやそこで医師見習いとして奮闘する信次郎、
東慶寺への取り次ぎを務める柏屋の人々の気構えを描いた映画です。

駆け込み寺のルールや生活サイクルはすごく興味深いし、
長台詞は五七五でリズムが良いし、
達者な役者さんが揃っているので演技も見応えがあります。
ただ、虐げられた女性たちの再生と友情の物語がメインなので、
男性は人によってはあまり面白くないかも。
(という感じのレビューを幾つか見掛けました)

内容ばれ
信次郎さんは大泉さんなので、鉄板の愛されキャラクターなのですが、
じょごとお吟さんの対照的な2人の友情も良かったです。
(でも環境と性格は全然違う2人ですが、意志が固い所は似てる)
意識が朦朧としたところで楽しみにしていた八犬伝のラストを読んでもらうって、
理想の極みで、羨ましくなりました。
あそこはちょっと「風立ちぬ」を思い出した。

あ、しかし姉妹の話と道場仇討の話はよかったのですが、
想像妊娠の話と密偵の話は、「え?その決着でいいの?」って思った。
東慶寺潰しの話もえらくあっさりだったので、
もうちょっと紆余曲折あっても良かったかも。

あの五七五の小気味のいい啖呵は
原作の文章なのか気になってはいるんですが、
妻の顔を殴って小説を書いていた人の、
「夫の暴力に苦しむ女たちの小説」を読むのって
なんか共食いをして成長した鳥を食べるみたいで
複雑だなって思って読むのをためらってます。

監督は何を撮ったんだろうって思ったら、
「ガンヘッド」の人だった……そうか……。










2016.10.07 サイトに掲載

2016.12.30 再掲載





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