「セルフレス/覚醒した記憶」 ターセム・シン監督最新作。 癌で余命半年を宣言された大富豪が、 断絶した娘との関係を修復しようとして失敗し、 焦りを感じていたところ、 ある医学研究所の存在を偶然知り、 そこで人工培養した健康な肉体に、 意識を移植できるという説明を受ける…というあらすじ。 ゆるい構図やマッチしていない色など、 俺の映画では1秒たりとも映さぬ!という、 あの美への偏執みたいなものが薄まって、 逆にこれまでは控えめだった感情描写が前面に出てきて、 その点でちょっとターセム映画じゃないみたいでしたが、 主要登場人物がみんな誰かのことを深く愛している、 優しい切ない系微SFで、こういうの好きです。 マシュー・グッドは頭が小さく手足が長すぎてこわい。 デッサンが狂ってる。 内容ばれ 富豪と娘の愛情と、富豪と親友の愛情、 親友の家族への愛情、 肉体の持ち主である軍人と家族との愛情、 あとマッドサイエンティストの妻への愛情。 老いた最愛の妻に、毎週バタースコッチを届ける美しい男、 中身は老人でマッドサイエンティストでラスボスって 萌えSF設定にも程があると思います。 主人公に対して「彼女を傷つけたのか?」って言ったシーンの 固い声と表情もよかったですね。 富豪と親友の、おじいちゃん同士の友情もかなりかわいかった! 2人とも昔の出来事とか互いの言葉とかすごく記憶してますね。 (ただあのシーン、あんなに念入りに疑って、 警察を呼ぶとまで言う必要はない筈なのですが、 でもまあおじいちゃん友情シーンどうしても入れたい!という気持ちは分かる) それと生き馬の目を抜く業界で弱者の血を吸って生きてきた2人の、 あの異様な倫理観の高さは何なのだと思う。 あんなにかわいいと、陰でアイドル扱いされてそうよ…。 そういえば関係ないですが、ターセム監督の「落下の王国」には、 もとになった「YO HO HO」というブルガリア映画があって、 粗筋はほぼ同じ、ターセム監督もそれを公言していると最近知って、 その映画を見てみたいなーと思ってるんですが、 ブルガリア映画ってあまり日本に来ないですね…1本も見た事がない気がする。 2016.09.05 サイトに掲載 2016.12.30 再掲載 戻る |