「幻の湖」









「シベリア超特急」「北京原人」と並んで日本三大駄作(珍作)、
或いはそこに「デビルマン」を足して日本四大駄作(珍作)
と言われる怪作です。
故殊能先生がツイッターで言及されていて、ずっと気になっていました。

風俗嬢の主人公は
愛犬のシロと一緒に琵琶湖の周囲をランニングするのを日課にしていた。
しかしある日、愛するシロが何者かに殺され、
日本の性風俗を調査するため風俗嬢となっていた
CIAの捜査官ローザの助力や警察の捜査のお蔭で、
その犯人が人気作曲家の日夏である事を主人公は突き止める。
日夏がランニングを日課にしている事を知ると、
主人公は自慢の健脚で走っている日夏を後ろから煽って
ボロボロになるまで追い詰めてやると決意、
実行するが、慣れない東京で逆にペース配分を誤り途中でスタミナ切れを起こす。
そんな中で以前からいい雰囲気だった銀行員と交際する事になるが、
びわ湖に向かっていつも笛を吹いている男のことも気になっている。
笛の男から、戦国時代にお市の方に仕えていた、みつという侍女の
悲劇を語られた主人公は、自分とみつの間に運命的な縁を感じる。
ある日、主人公の働いている風俗店に作曲家が現れ、
主人公は愛犬を殺した凶器の出刃包丁で作曲家に襲い掛かる。
そして琵琶湖の周りで命懸けのランニングがスタートする。
以前は東京で敗北した主人公だが、今度はホームのびわ湖なので
ペース配分もばっちりである。
一方その頃、笛の男はスペースシャトルに乗ってびわ湖の真上にいた。
というあらすじ。(……あらすじ?)

変な所は大まかに言って3点
・なぜかマラソンで復讐しようとする主人公と、
 なぜかマラソンで逃げ切ろうとする作曲家。
 普通に夜の帰宅中に後ろから刺せばいいのに…。
・突然語られる戦国時代の因縁。
 しかも結構本格的でお金がかかっていて、
 信長役が北大路欣也さんだったりする。
 そしてむやみに残酷で、生首とか子供の串刺し死体とか、
 逆さ吊の刑で死んだ女とか出てくるけど、わりと出来がいい。
 八つ墓村の特殊効果を手掛けたスタッフじゃないかな。
 そしてこの戦国パートはバッサリ切っても本編に影響ない。
・戦国パートより更に唐突に出現する宇宙パート。
 本編との関連がよく分からないというか、
 このお話を書かれた時、監督は
 薬がキマッてたのではないかと思う。

凄いなと思うところは、1年かけて美しく撮られた琵琶湖。
新人の女優さんはめっちゃ走り込みをやらされたそうで、
本当のランナーのように締まった体をしておられます。
あと、ちょろっと東京が出てくる以外はずっと琵琶湖、
しかも湖西が舞台なので、滋賀県民は見るべきだと思う。
関係ないけど遠景に時々映っている遊園地が気になって
どこだろうと思ったが、調べたら「びわ湖タワー」でした。
バンジージャンプが各種あって、そういえば昔行きました。今はもうない。
愛犬を殺された風俗嬢の復讐の物語という点では35年早かった「ジョン・ウィック」
という気がしないでもない。時代劇パートと宇宙パートさえなければ。

題材が題材なのでファミリー鑑賞向きではないです。
でも1人で見ているとたぶん眠くなるうえに、
見終わった後の感情を持てあますと思うので、
誰かと一緒に見るのがいいと思います。
私は友達が一緒に見てくれたので、とっても楽しかった。

原作脚本監督は、「私は貝になりたい」を監督し
「八甲田山」や「砂の器」、「日本のいちばん長い日」などの脚本を書かれた
大御所の橋本忍監督ですが、この作品が2週間で上映打ち切りになり、
異例の大赤字だったため、引退を余儀なくされたそうです。









2016.08.09 サイトに掲載

2016.12.30 再掲載





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