「シン・ゴジラ」 予告編からアカン臭いがぷんぷんしてたので、 全然期待せずに行きましたが面白かったです!! TV版のエヴァが好きなかたなら間違いなくお好きだと思います。 主人公の特攻スローモーション、泣いて心配するだけのヒロイン、 ヒステリーを起して叫びまくる人々、感情的で無能な大人、世界を救う十代、変なポエム。 邦画の病理が完全排除されてました。それだけでも爽快でした。 代わりに登場するのは大人たちです。名前もないような多くのキャラクターたちが 英雄的行為によってでなく淡々と職務を全うして日本を守ります。 この映画ではゴジラの脅威と同じくらい人間の強さが描かれますが、 突出した才能の力ではなく、並列つなぎによって能力が発揮されるところが 地味かつ日本っぽくて実にいいです。 誰が死んでもどんどん代わりが出てきて目的を果たす、 それが悲劇ではなく、格好よく演出されます。 邦画がつまらないという批評に対して、 お金がないからだ!という言い訳が過去にありましたが、 ゴジラがビルを壊すのにはお金がかかります。 じゃあ経費を減らすためにはそこを映さなければいい、 ゴジラを静止させればいいというアイディアがあり、 そこを逆手にとって格好いい展開が次々来ます。 これは盲点だった。誰でもできることではないけど。 あと日本の名脇役さん大集結でした。 橋本じゅんさん、片桐はいりさん、古田新太さんがセリフ一言! 前田敦子さん、粟根まことさんは見つけられなかった。 松尾諭さんと野間口徹さんのSP組が活躍しますし、 國村隼さん相変わらず素敵でした。小林隆さんも。 (柄本明さんはちょっと息が苦しそうで気になりましたが、演技…?) いかにも院卒の理系の人っぽいヒロミさんを演じた市川実日子さん、 印象強かった。ナチュラル眉、すっぴん、セットしてない頭、愛想ゼロ。 普通こういう女性はヒステリー女として描かれる事が邦画では多いですが、 ギーク枠で活躍してた。ラストのセリフと表情には男女ともにキュンとしたと思います。 ちなみに主役は進撃の巨人で髭リンゴ男だったひとです…。 物語の面白さに関しては、役者さんが寄与できる部分は少ないと痛感しました。 内容ばれ 庵野さんの頭の中の、ものすごい高性能大容量のシミュレーターが演算した、 怪獣出現の際に日本に何が起こるかの精密なシミュレーション映画です。 圧倒的情報量。劇的に予算が減らせる。尚且つ面白い。 それらは避難中も動画撮影をやめない人々であり、 ゴジラの保護を主張する団体であり、運によって生死を分ける瞬間であり、 全ての決定に会議を必要とする仕組みであり、 対策本部の人間のカップ麺の食事であり、臭うシャツであり、 最終的にものを言うコネであり、熱核兵器の使用が諸外国の多数決で決まる描写です。 でもその一方でアニメ的なエンタメも忘れず盛られているのがすごい。 真面目な話としては、日本を守ると言っても、日本に住んでいる人間を守るのと、 日本の経済を守るのと、諸外国に対する日本の立ち位置を守るのは、 対処法がかなり変わってくるなと思いました…。 あと首都圏が重要云々の話のところで、人口比率が根拠に出されたんですが、 「ああ、じゃあ最悪首都圏以外が全滅しても関東が残ってれば日本は立ち直れるな…」 と思いました素直に。 この映画の欠点はと言えば、小さなお子さんは大人が会議をしているシーンが長くて 退屈しちゃうかもな…って点です。あとゴジラ第二形態がこわくて泣いちゃうかも。 2016.07.31 サイトに掲載 2016.12.30 再掲載 戻る |