「二ツ星の料理人」









天才料理人の主人公は、かつて若くして成功し名声を手に入れたが
そのせいで慢心し、酒と薬と女におぼれ、多くの人々の信頼を裏切り、
恨みをかって業界を去った。
贖罪のために3年をかけて100万個の牡蠣の殻を剥く作業を己に課した彼は、
それを終えると旧友のいるロンドンを訪れ、
3ツ星をとるためにレストラン開業に乗り出すというあらすじ。

自らの傲慢で破滅した男の再生の物語です。
正直ちょっと主人公には同情できないのですが、
周囲の人がみんないいひとで魅力的です。萌えもありますよ!

厨房でのスピーディーな動きは非常に緊張感があります。
あと出てくる料理がおいしそう。
でも主人公のお店で出すコース料理よりはむしろ
若手のスカウトに行った先のローストビーフサンドや、
仕入れ先の中華街の料理や、ライバルが作る朝食のオムレツや、
屋台の食事とかが胃袋に響きました。

内容ばれ

主人公のアダムが癇癪持ちで、
すぐにキレて怒鳴ったり物を壊したり
他人に酷い事を言ったりする私の嫌いなタイプだったのですが、
まあここで罵倒を20行くらい続けても
読んでいる人がお困りになるばかりだろうので割愛して
2つだけ書くと
・娘ちゃんが誕生日の母親に半休あげるくらいいいだろ。
 なにがしかの報いを受けろ。牡蠣にでもあたれ。
・赤の他人が経営する飲食店に来て、
 みんなの前で自殺しようとするのはよせ。
 死ぬなら人に迷惑の掛からない場所で1人で死のうぜ。

そんなアダムを密かに愛している友人のトニーが、
もう滅茶苦茶いいひとで、
アダムはその好意を知りつつスルーして彼を利用しまくります。痔になれ。
あとライバルのリースもいい人で、トニーに近付くなとか忠告してくれるし
アダムの自殺を止めて、翌朝にオムレツを作ってくれます。
元カノなんか極めつけのいい人で、
主人公の巨額の借金を返済するためだけに登場してくれたようなもんだよ!?
部下の女性シェフも、散々つらく当たったのになぜか主人公に惚れてしまうし、
なんか宇宙の法則の乱れを感じました。
トニーは早くアダムの事など吹っ切って、リースとくっつくべきだと思います。

ミシェルだけが主人公をちゃんと憎んでいたので、
あのシーンはガッツポーズだったのですが、
勘違いだったってあんまりだよー!
あそこはちゃんと天罰を受けて、自業自得を噛みしめるべきだよー!

レストランで床にフォークを置くのが流行りそうな予感がします。










2016.07.04 サイトに掲載

2016.12.30 再掲載





戻る