「マジカル・ガール」








監督脚本カルロス・ベルムト

日本のアニメ「魔法少女ユキコ」に憧れる白血病の少女アリシアは、
魔法少女のコスチュームを身に付けてユキコに変身する事を夢見ていた。
作品20周年記念で有名デザイナーの手がけた衣装は
日本円にして90万円。失業中の父親にはとても用意できない金額だった。
彼は自分と関係を持った人妻バルバラを脅迫し、
ユキコの衣装を手に入れようとする。しかし……というあらすじ。

予告や、このあらすじから予想されるのとは全く違う展開をします。
魔法少女に憧れるアリシアは傍流のパートで、
メインはどちらかといえば人妻バルバラです。

結末ははっきり描かれないし、時系列もやや不親切なので
万人向けではありませんが、でも印象的なシーンが時々あって、
なんか後に監督が大化けなさりそうな雰囲気の作品です。

ねたばれ箇条書き
・魔法少女ユキコの衣装は、うん、「まどか・マギカ」ですね。
 90万円とか…本当日本が無茶言ってすまん…でもあり得そう…。
・と思ったけど、さすがに魔法のステッキ250万円はないわ。
 仮にあったとしても、子供が持って振回すものではないわ。
 衣装はともかくステッキは自国のレイヤーさんに頼めば
 1万円ほどで完璧なレプリカを作ってくださると思う…。
・「魔法少女ユキコ」の主題歌、いかにも昭和アニメ曲…って思ったら
 元の曲はフィンランド歌謡曲で、
 それを長山洋子さんがカバーなさったんですね。
・マコトとかサクラとか日本名っぽいハンドルネームが
 あっちの子らの間では流行ってるんだろうか…?
・スペインの不景気、酷そう。
・「北欧は理性で動き、ラテン・アラブは感情で動く。
 スペインはその中間」みたいなセリフがありましたが、
 ちょろっとスペイン映画を見る限りでは…かなり後者寄りかと思…。
・出所後の先生の家にバルバラから電話がかかってくるシーンがあって、
 次の章で時間が戻って獄中の先生のシーンがあるので混乱する。
 バルバラが先生に執着していたというのは
 パズルの1ピースが家の前に落ちていた件で
 そっと示唆するって事でいいんじゃないかな。
・「窓から投げ捨てたらどんな顔をするかと思って」
 って夫の友人夫婦の子供を抱っこしながら
 クスクス笑っちゃうバルバラですけど、
 どう考えても相応しくない状況で
 言ってはいけない言葉を言ってしまう性質の人っていると思うんですが、
 そういう人と、完全に精神を病んじゃった人の区別はどこにあるんだろう。
・SMは、内容が一切描写されないのがいいですね。
 1日で250万円かー。税金かかるのかしら。領収書とか出すのかしら。
 髪が無事だったので、酸で焼かれたとかではないと思うけど、
 あれ片方の目が潰されてたら割に合わないですね。
 スペインにはマチ金とかないのかな。
・ラスト、解釈が分かれるけど、
 私は「先生があの後バルバラを射殺した」と思う派。
 何故かというとこれまでの先生は
 愛のために犠牲的献身を行っているつもりで、
 だからこそのカウンセラーの
 「あなたは善人だと思う」というセリフが出る訳で、
 しかし今回の一件がバルバラの嘘によるものだったという証拠を
 聞いてしまった彼は、
 前回の殺人(おそらく)もバルバラの嘘によるものだった(おそらく)と
 気付いてしまい、自分の手が穢れていると知ってしまった。
 それ故の無慈悲な目撃者殺しと、子供殺しなんだと思う。
 あと冒頭のあの魔法(手品)を使った後で
 バルバラは(おそらく)先生の人生を破壊したけど、
 最後に先生は同じ魔法を使ったことで
 今度は先生がバルバラの人生を破壊するのかな、とか。
 「おそらく」使用回数多い。








2016.04.11 サイトに掲載

2016.12.30 再掲載





戻る