「エージェント・ウルトラ」 田舎のコンビニでバイトをしているマイクは かなりぼんやりした男で失敗ばかりしている。 そんな彼を優しく世話する恋人のフィービーと 毎日ゴキゲンにマリファナをキメながら暮らしていた。 しかしある日、店に来た謎の女性が不思議な詩のような言葉をマイクに告げると 彼の脳は覚醒し、隠された能力が現れる、というあらすじ。 ジェシー・アイゼンバーグとクリステン・スチュワート主演の、 過激スパイアクション・ラブロマンスです。 ボーンシリーズに、ヤングアダルト(アメリカのラノベ)ノリをぶっこんだ感じ。 ボーンシリーズや、去年上映のジョン・ウィック、スパイエージェントもの4本、 それぞれ主人公は勇敢な性格で、ひとたび事件が起きれば解決に向けて迅速に動きます。 しかしこの映画は違う。 人体実験の影響もあって、ちょっと頭のぼんやりした主人公は 覚醒してもぼんやりしていて、敵の指示にも素直に従うし、 罠にすぐ引っかかるし、もう死んでもいいから家帰って寝たい!とか途中で言い出す。 そしてお姉さんのような恋人とお母さんのような上司にヨシヨシされながら、 常に「ふえぇぇーん」という感じで戦います。 アメリカでも男子草食化が進んでいるのかも。 なのでオラオラ主人公に感情移入したいひと向きの映画ではない。 ラブロマンスは相当かわいい。 でも血は結構ぶしゃーっと飛ぶし、 この監督はヒーローヒロインの顔を綺麗に撮る気は皆無なので、 誰向きかよく分からない。私は好きです。 内容ばれ 身体能力が特異ではない設定の地位のある中年女性が、 現場で普通に戦闘に参加して、普通に戦力になっているのを見たのは初めてかもしれない。 (エージェントものでは大抵コントロール役か後方支援) この中年女性とゲイの人は、ポリティカルコレクトネス枠で絶対生き残るな…と最初に思いました。 (スレた映画ファン…) ゲイの人、めっちゃいいひとで、最後めっちゃ可愛かった。彼氏と仲良く幸せに暮らして下さい。 マイクが超画力で、すごい筆が早いんですけど、あの猿の漫画、 後の展開をだいたい事前に描いてあったので、 深層意識でフィービーの事とか実は分かってたんだろうなって思います。 ラストのムービー、着色しないマイクの線画のままが良かったなー。 笑い男のひと、あの立派な歯はCGじゃなく天然…? 続編では彼がマイクのピンチに駆けつけたりすると熱い! 木と車の話とか、あなたが死んでしまったらあなたの頭の中のキャラクターもみんな死んでしまうとか、 なんていうか感性がキラキラ系ナードかつ若い…と思ったんですが、 監督は別に若い方ではなく、更に調べたら脚本家が「クロニクル」のマックス・ランディスさんでした。 納得です。 いっそ脚本はこのままで、もっと尖った系の映像を撮る監督さんのほうがよかった気がする。 シアーシャさんの「ハンナ」みたいな。 ネタ元になった「MKウルトラ計画」ですが、 本人の同意を得ず、妊婦や精神病患者にLSDを投与とか、 うわー、いかにも人権の概念が未熟だった頃の暴挙だなーって感じです。 (映画内では軽犯罪を3度やらかした人間を被験者にしたとか言ってました。 最近覚えたスリーストライクス・アンド・ユー・アー・アウト法だなってピンときましたが、 人権も危うくなる感じなの…?) 「RED」のマルコヴィッチさんが演じている主人公の相棒にも MKウルトラ計画を生き延びた被験者って設定があるんですね。初めて知りました。 2016.01.28 サイトに掲載 2016.12.30 再掲載 戻る |