「イット・フォローズ」 デビッド・ロバート・ミッチェル 監督 性行為で霊のようなものをうつされるという設定のホラー映画。 それは一見人間のような姿で、ぺたり、ぺたりと歩いてくる。 動きは遅いが知恵はある。昼も夜も追ってくる。捕まると死ぬ。 他の人間にうつすことができる。というシンプルなルール。 ありそうでなかった表現でした。 色々荒い部分もあるけど斬新で面白かった。 予告編 (こわいの苦手な方は見ない方がいいです) https://www.youtube.com/watch?v=r4wfajFlPJI カースト下位であることが推察されるグループの友情と、 幼馴染の甘酸っぱい恋愛も同時に描いてます。 内容ばれ 携帯や電子書籍は出てきたけどブラウン管のテレビがあったり、 車や家具調度が妙に古かったり、 女の子がプールで泳いでいるけど外出する時は ボア襟つきのジャケットを着ていたり、 街の外れまで行くと廃屋が並んでいたり、 グループの子がいつも家にいたり、 詩が引用されたり、見ている映画がいつも白黒だったり、 伏線かと思ったけど違った。 (廃屋については現在のデトロイトが 実際ああいうゴーストタウン状態なのだそうです) プールに出てきた「それ」に対して「(それが誰か)言いたくない」って言ったり、 隣の家の人が「問題の多い家ね」って言ったり お母さんに言っても信じてくれない、言わないでって繰り返したり、 つまり昔にそういう事があったのかなと思いました。 写真が飾られたままなのは、性的虐待は表面化せず忘却されたのかなと。 追ってくる「それ」も性暴力で死んだ人なのか…?って途中まで思ってましたが おじいさんもおばあさんもいたのできっと違うのだろう。 あるいは性に伴う暴力や、病気を含む様々な悲劇の暗喩なのかも。 でも痩せっぽちの青年の、憧れの女の子への片想いが成就する、 ラブストーリーも同時に進めてるのがおもしろいです。 もしかするとパートナーの持っている性の負の部分に取り込まれず、 それに追われながらも2人で解決するべく永久に進むべきとかそういうのかしら…。 「それ」が物理的に存在する設定にしちゃったのは どう考えても良くなかったと思う。 ストールを上からかぶせたら、ストールがふわふわ浮いちゃったりとか。 かつて1度感染した人が団結して集団戦を仕掛けたら拘束できちゃうし。 あと、ゾンビっぽくなると途端に怖くなくなるので、 「立ってる」「歩いてる」以外の動作はすべきではない気がする。 あとこれ、うつした相手には生きてもらわないと困るシステムになってるので、 次の人には懇切丁寧にレクチャーをすべき。 その点で主人公のやり方はうまくなかったし、 主人公の元カレはすごい要領が良かった。鬼畜だけど。 というか行きずりの女に(たぶんバーであった女、と言っていたので)うつされて、 よく設定を学んで生き延びられたな、と。 知らずに誰かにうつして、運良く相手が殺されるのを目撃して、事情を察して、 (玄人の女性にうつすもすぐ戻ってきて?) ある程度知恵が回って肉親のサポートを受けられる 素人の女じゃないとだめだって、計画して実行したんでしょうね。 大人だったらとりあえず航空機で逃げ回れるので (ロシアにでも飛べば80日ほどは稼げる) 主人公は若い子たちでないとだめなのでしょう。 でも私だったらルールが最初のページに印刷してあって、 気付いた事を次の人が書きこめるようになってる連絡帳を作って 次の人に渡すけどな。 監督はこの作品が2作目。 2016.01.12 サイトに掲載 2016.12.30 再掲載 戻る |