「ハーモニー」









伊藤 計劃さん原作小説を連続で映画化していくProject Itoh第2弾。
本来2番目に公開される筈だった「虐殺器官」が
制作アニメ会社「マングローブ」の倒産により
上映が困難になったため急遽繰り上げて封切られる事になりました。
「虐殺器官」は来年内の上映を目指すとのことです。

高度な医療技術と健康状態の常時監視により病魔や老いから完全に解放された人類が、
思いやりをもって生きる幸福な社会を営むなか、
それに馴染む事の出来ない主人公は
WHO螺旋監察事務局の監察官という立場を利用して
酒や煙草の不法取引に手を染めていた。
彼女をそうさせるのは、高校生時代の友人で
神秘的な美少女ミァハだった。
彼女は健康社会を憎み、反抗のための自殺を主人公に持ちかけ、
2人はその自殺を承諾するが主人公だけが失敗し、生き延びてしまったのだ。
そして13年後の現在、社会を揺るがす大事件が起きる。というあらすじ。

めっちゃ百合でした。びっくりしました。
でもどうやら私のびっくりしたシーンは原作を改変したらしい。
「屍者の帝国」はBL改変だったそうなので、
えっと何か原作ファンのかたには申し訳ない気持ちです。
エンタメとしては「屍者の帝国」のほうがドッカンドッカン話が動いて
派手なんですが、そのかわり一部登場人物の行動に疑問が残る感じでした。
「ハーモニー」はあらすじに起伏がなく鬱なんですが、
テーマである意識については一歩先に踏み込んでいるし
登場人物の感情についての描写も丁寧。
(モノローグやセリフが原作から結構そのまま使用されています)
なんとなく京極夏彦先生の「ルー=ガルー 忌避すべき狼」を思い出した。

ラストばれ

あとラストの改編部分は「映画まどマギ」を思い出した。

生まれつき意識のない人間の話は「脳男」にも出てきましたが
どんな状態になるんだろう、意識のあるなしってどこで診断するんだろう、
人工的にそういう状態を作り出すってどうするんだろう、
意識は再生しないのか、意識のなくなった人間の脳にはどんな利点が?
等々知りたかったのですが描写が少なくてすぐさま原作を買いました。
肉体が危機的状況に陥ったとき、本来その機能のない脳の一部分が
欠陥を補って仮の意識を形成する描写とかは良くも悪くもぞっとした。
(いっそ意識のないほうが明らかに肉体のためになる状況なのに?)

グラスの水に血が落ちるシーンが好きです。
あそこは先端恐怖症の人にはつらいかもしれない。
ところですごい科学技術の進化した世界なのに、
お料理はあまり変化が見えないのはなぜだ…。

それと本当にどうでもいい事ですが主人公の上司の人の声が
アニメ「PSYCHO-PASS」のシビュラシステムの声だったので、
すごい黒幕感があった。

「ウェルテル効果」につては最近ゲーテを読んで覚えたばかりなので微笑んだ。
でもあれを読んで死にたくなる気持ちは分からない。
まあたぶん小説も進化を続けているという事だろう。

「虐殺器官」で出てくるはずだった大災禍に関してが
一切説明がなくて、それは仕方ないけど残念だなーという気持ちです。










2015.11.18 サイトに掲載

2015.12.30 再掲載





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