「大統領の執事の涙」








父親を白人の農場主に撃ち殺された子供がやがて成長し、
身に付けた技術でホワイトハウスの執事に採用され、
アイゼンハワーを最初にその後7人の大統領に仕えるという実話を元にした話。
しかし彼の息子はキング牧師、マルコムX、ブラック・パンサー党、
マンデラ大統領釈放要求などの差別撤廃運動やその指導者たちと関わります。

役者さんの使い方が贅沢。
ジョン・キューザック、アラン・リックマン、ロビン・ウィリアムズが
次々と現れては去っていきます。
主演はフォレスト・ウィテカー(「ラスト・キング・オブ・スコットランド」でアミンを演じた人です)、
彼の妻にオプラ・ウィンフリー。

内容ばれ

同じ団体の中に
戦おうとする一派と、流血を避けようとする一派があると、
同胞なのに、というか同胞だからこそ前者から後者への憎しみは
下手をすると敵に向ける以上のエネルギーがあるのはやりきれないですね。

同じ国で生活している同じ人間同士の間に起こったとは信じられないような
激しい弾圧と抵抗の一連を見ていると、
第二次南北戦争が起こらなくてよかったという気持ちになります。

でも、お父さんが白人に仕えて稼いだお金で衣食住保障してもらって
大学まで行かせてもらってるのに、お父さんの人生を否定するのは間違ってると私も思う。
そういうのは自分で稼いだお金で生活できるようになってからな?

それにお父さんも別に奴隷根性で執事をやっている訳ではなく、
単にプロとして仕事をきちんとしているだけで、
尊敬できない人物には相手が大統領でも
礼儀正しい態度と全然心のこもってない言葉で対応していた。
(フォレスト・ウィテカーがそれを表現していた)

ラストまで見ると、なるほどこれは今撮るしかない映画…って思います。

「それでも夜は明ける」は人権を奪われ苦難を受ける個人にフォーカスした作品で、
「大統領の執事の涙」は個人を中心に据えつつ国家・歴史の流れを追った作品です。
一挙に鑑賞すると頭の中でピースが合いそうですが、ものすごい体力を消耗しそう。









2015.05.24 サイトに掲載

2015.12.30 再掲載





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