「FRANK フランク」 実在の音楽コメディアン、フランク・サイドボトムを元に、 子供の頃から頭に張りぼての人形の頭部をかぶって生きている フランクという天才音楽家と、 偶然彼と知り合った凡人のアマチュア音楽家の男の交流を描きます。 会社員をやりながら音楽を続ける主人公は 浜辺で救出される自殺未遂者を目撃する。 それはバンドのキーボードで、ライブ当日だったそのバンドは 新しいキーボードとして主人公を雇う、というあらすじ。 コメディっぽく宣伝をうっていますがコメディではないです。 エンタメ文脈によって進行しないので、 フランク役のファスベンダーさんファンか、 もしくは英国映画好きの方にはおすすめしますが 一般映画ファン向きではない。 (私はファスベンダーさんファンだけど、付き合ってもらった友達は 特にファスベンダーさんに興味なかったので悪い事をした…) 内容ばれ フランクは天才で、周囲に影響を及ぼして、 見ず知らずの主婦を、会話しただけでハッピーにしたり、 あるいはバンドのキーボードが2人連続で自殺を図ったりするけど、 エンタメの物語に出てくる天才みたいに、 万人がその才能にひれ伏したり、トラウマが語られたり、 彼の圧倒的なサウンドが映像で表現されたりはしない。 ただ周囲の人がひっそりと彼の才能を知っているだけ。 彼の恐怖症の始まりも、特に理由はなく 父親が子供のためを思って作った仮装用のかぶり物が 小さなきっかけになっただけ。 そして、そのちっともエンタメ的ではないけども 閉じて完成していた世界を、 平凡で善良な主人公が純粋な好意で、悪意なく破壊します。 (でも彼は平凡で善良で才能に恵まれなかった故に自殺せずに済んだ) (主人公も金銭や職や、多くを失ったけど) ファスベンダーさんは被害者顔、悲劇顔、犠牲者顔を作る天才ですが、 よく聞くと声までものすごく寂しい悲しい声なんですよ。しかも歌が上手い! お母さんが息子を語るところの横顔とか、本当にいい仕事なさってた。 繰り返しますがマイケル・ファスベンダーと彼の演技を見に行くなら、 これはとても良い映画です。 ところで英国には火葬許可証に類するものってないの? 2014.10.20 サイトに掲載 2014.12.27 再掲載 戻る |