「ウォルト・ディズニーの約束」







「メリー・ポピンズ」を映画化しようとするディズニー氏と、
自分のこだわりを1ミリも譲らない原作者トラヴァース夫人の、
強烈なぶつかり合いのお話です。
すべて自分の思い通りにしてきたであろう成功者ディズニー氏が
年配の女性にケッチョンケチョンにされます。
夫人によるディズニーのコンセプト完全否定がいっそ痛快。
彼女は「メリー・ポピンズ」で、
本当は何を描いたのかという、ちょっとした謎解きもあります。
原題は「バンクス氏の救済」
いま「アナと雪の女王」が大ブームなので
上映回数などで押され気味ですが、良く出来ている映画なのでとてももったいない。

内容ばれ

トラヴァース夫人がすごかった。
悪い方にキョーレツな性格の人というのは、
相手に不快な思いをさせて喜ぶタイプだったりもしますが、
映画の中の彼女はそうではなく、
単に不平不満批判が溜まりやすく一瞬たりとも黙っていられない、
それらが多すぎ大きすぎるので
他人の心情を斟酌している余裕がないという感じの人でした。

飛行機の中で、トラヴァース夫人のために自分の荷物を遠くの場所に替えて
場所を譲ってくれた乳児連れの女性に対して
礼も言わず、長いフライトで赤ちゃんが泣いたら迷惑だわ!
気をつけて!って言う所、
あー…いますねこういう人。うん…って。

しかし幾らなんでも昔の女性だし
実際はもっと控えめなひとだったんだろうな…と思っていたら
現存しているテープの音声が流れて、
映画に負けず劣らずキョーレツなひとだった!
私恥ずかしながら「メリー・ポピンズ」を読んだ事がないのですが、
こういう性格の女性がお書きになったのがどんな作品なのか
むしろ興味がわいたくらいですよ。
作品と人格は関係ないと思ってますが、限度ってものが!(笑)
しかしここまで夫人サゲしてしまって物語的に大丈夫なのかと思わせておいて
やっぱりディズニー脚本、後半ぐいぐいと夫人に感情移入させますね。
まるで魔法です。

お父さんの話は切なかったですが、
最近アル中に関する本を読んだばかりだったので、
男性のアル中患者は、得てして身内の女性が
アルコールを与えたり、世間から隠して養ったりして
却って悪化させてしまうという話そのままだったので、
真顔になったりしました。
空想の力を失わないすてきなお父さんなシーンの次には、
引越しの列車の中でもうすでに
内ポケットのお酒を飲んだりしているシーンが入る、
容赦なく的確な人物描写がよかった。

ウォルト氏が、自分もミッキー・マウスを奪われかけたけど
守り通した話をしているところ、
英語では鼠がとかミッキーがとか色々言っているのに
字幕では「ネズミ」で統一。ディズニー映画なのに何か問題があるのかしら…。










2014.04.06 サイトに掲載

2014.12.27 再掲載





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