「ROOM237」 スティーブン・キング原作、スタンリー・キューブリック監督のホラー映画作品 「シャイニング」を基にした考察映画です。 タイトルは、映画の中で女の霊が出る部屋の番号なのですが、 原作では217号室なのです。 237号室に変更した理由として、 モデルになったホテルの部屋番号とかぶらないようにするため、 と監督は説明したようですが、実際のホテルに217号室はなかった…… というちょっとした謎があるようです。 何人かの人が出てきて自説を展開します。 様々な象徴を駆使してホロコーストを表現しているとか、 インディアン虐殺をほのめかしているとか、 迷宮のミノタウロスを意味しているとか、 いやいや家族と社会の暗喩だとか。 みなさんよく見てらっしゃる。背景に使われている商品のタグとか 部屋に張ってあるポスターとか、駐車場にある車の数とか。 ダニー少年が座っている時と立ち上がった時には カーペットの模様が逆になっているとか、 足漕ぎバギーで走っている時に1階から2階へワープしてたとか、 何回も見ているのに全然気づかなかった。 オーバールックホテルの平面図とか、当然書かれているんですね。 どのジャンルでもオタクさまはいい仕事してらっしゃる……。 ただ、だいたいはこじつけというか、 中には頭は大丈夫なのかちょっと聞きたくなるようなひともいて、 (ミノタウロス推ししているひとが特にひどかった) 「シャイニング」のファン以外は見なくていいなこれ…とは思いました。 あの何かの数字と何かの数字を足すとどうのこうのとか、 そりゃあ2ケタ程度の数字だったら何かには当てはまるよって思うし、 このシーンの事務用キャビネットが男性器に見える!とか、 ちょっと可哀そうなものを見る目になってしまうし、 神話を意味しているとか聖書の何某とか、個人で楽しむのはいいと思うけど この作品の高尚さを分からないなんてとか、映画は原作よりも視点の高度な作品とか 後者は実際言っていたのでカチーンときた。そういうのは違うと思いますプン! 原作は人間の強さや善意や愛情を描いたホラーで、父は悪意に打ち勝った。 映画は原作の善を一切排して映像美で押し切ったホラー、父は悪意に取り込まれた。 でもどっちも同じくらい名作。 しかしシャイニングの有名なシーンの幾つかを大画面で見られたのはよかった。 映画館で見たのは初めてです。テレビ画面で見るにはやっぱり勿体ない画でした。 他の作品も何作か映りましたが、やっぱりキューブリック作品は綺麗ですね。 趣味のいいチョコレートのパッケージみたい。 あとお金と手間がかかっている。 冒頭の空撮からしてただなるぬ気合が感じられ まるで這う蛇のようになめらかで不吉。 最近ありがちな「予算あるからとりあえず上から撮ったよ!」っていう空撮とは違って 空撮でなければならぬ!っていう空撮。 色も印象的です。エレベーターとトイレの赤、ゴールドルームの礼服の黒、 カーペットのオレンジ、もちろん雪の白。 「シャイニング」はヨセミテ公園にある高級ホテルで ロケしたのだと私は思っていましたが、それは勘違いで、 実在のアワニーホテルを綿密に調査して、 ロンドンに巨大セットを建てたのですね。ひゃー。 あそこまで作ったのならホテルにして開業すればよかったのに。 潰してしまうなんてもったいない。 (外観はティンバーラインロッジだそうです) 実際のホテルと映画内のホテルを比較した面白い映像。 https://www.youtube.com/watch?v=OQ9ngMA6nCA いつか行ってシャイニングごっこするのもいいかな、と思ったのですが 1部屋1泊6万円前後か…うむ…。 2014.02.18 サイトに掲載 2014.12.27 再掲載 戻る |