「エリジウム」






前作「第9地区」で実力を認められて、今回メジャー進出なるかという作品で
めっちゃSF、めっちゃ兵器、めっちゃ人体破壊ブッシャァァァァー!
というある意味勇者、ニール・ブロムカンプが脚本、監督。
いや無難に大作を撮れる監督ばっかり集まってもしょうがないから
オタク監督誕生ばんざいなんですけども。

汚染されまくった地球を捨てて、
富貴層は人工都市エリジウムで飢えや病気などから解放された生活を送り
貧困層は明日をも知れぬ暮らしに苦しんでいた。
勤務先の工場の事故で放射線を浴び、あと5日の命となった主人公は
体を治療するためにエリジウムへの密入国を決意する。というあらすじ。

ラストばれ

未来兵器は、好きな人にはたまらん描写です。
特に電磁シールドみたいなのは面白そうだった。
金属や肉体や、何でも破砕してしまう武器の描写とか。
大気圏外の航行物を地球から撃墜しちゃうコンパクト長距離兵器とか。
かと思えば日本刀と手裏剣…(どんだけ愛されてんの…)。
でも主人公のあのパワードスーツは、二度と着替えできないし風呂にも入れないんじゃ…。

好きな女にいいとこ見せて彼女ゲットだぜーとかそういう話ではなくて、
子供の頃の約束を守りました、という方向のなのもとてもいいですね。
カバの寓話の話とかね。
主人公は最初のうちは普通にリアリストなんですが、
段々と無私の精神に目覚めていくところとか、そういえば「第9地区」と同じですね。
ペンダントとシスターの言葉は伏線かと思いましたが違いました。
まあ生まれの凄い何者かが凄い行いをするより、
普通の人がああいう行いをしたというほうがいいです。

うーん?と思ったのは、
あの犯罪組織のボスの人が、途中であり得なくいいひとになっちゃって、
えっあなた私財を投じて病気の子供を助けるようなひとだったの!?っていう点と、
あと、あのスーパー医療機械だってあの高機能から分かる通り、
1度の使用で高額の料金が発生するに違いありません。
たとえば貧しい国の平均に比べたら日本人は億万長者で、そして日本の医療水準は高いけども
世界中の病気の人に日本と同じ水準の医療を今すぐ受けていただけます。
しかも出張医療サービスします。日本人の税金で!って始めたら
一体何人助けられて、そのあとどうなるかって大体想像付きますよね。
そうならないためにも死に物狂いでシステム再リブートするだろうし。

だから、せかいじゅうの びょうきのこどもが たすかったよ!へいわ!
とかにしないで、親友の娘が助かった、約束を果たした、
だけでよかったのではないかと思います。

あと主人公の友達の人、フリオの扱いがあんまりじゃないですか!
もう!あんなに尽くしてくれてるのに!プンスカ!

ところで私はこの映画も製作費200,000,000ドルくらいかなーと見てたんですが
まさかの115,000,000ドルで、関西人としては異様に安いと気になってしまう。
ど、どこで買いはったの…?的な。
メキシコでのロケが安上がりなのかしら……。
映画会社はこの監督の倹約の才能にも着目してほしい。

エリジウムはエリュシオンのラテン語読みなのだそうです。








2013.09.24 サイトに掲載

2014.07.01 再掲載





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