「マン・オブ・スティール」






タイトルからは全然分かりませんがスーパーマンのリブート映画です。
監督ザック・スナイダー、脚本デヴィッド・S・ゴイヤー、
製作クリストファー・ノーランという豪華メンバー。
しかしあまりザック・スナイダーっぽくはなく、
かといってすごくノーランっぽい訳でもなく、
一番強いのはデヴィッド・ゴイヤー色ですかね。
スパイダーマンやバットマンなど、成功したリメイクものから、
おいしいところをちょいちょいといただいた感じ。

人と違うのは障害ではない、とクラークが悟るまでの苦難と、
あとクラークの父に片思いをしていた男の、妄執に満ちた人生が描かれます。

内容ばれ

・ゾッド将軍というひとが冒頭から気の毒でした。
 資源枯渇で滅びゆくクリプトン星をなんとかすべくクーデターを起こした彼は、
 無能無策だった元老院のメンバーを殺害幽閉し、クラークの父で科学者のラッセル・クロウ氏を
 「おまえは殺したくない、共に戦おう」とスカウトします。
 でもラッセルさん「おまえは怪物だ。もう友達ではない」とズバーンと断っちゃいます。
・ところでクラークの父ラッセルさんも、なんだか相当変わった人で、
 クリプトン星では子供は必要な種類の人間を遺伝子段階から設計して
 まとめて製造しているのですが、何を思ったかこのラッセルさん、
 妻との共同作業で自然分娩に挑戦し、息子を作ります。
 そして「うちの息子は天然ものだから他とは違う!オンリーワンやでぇ」
 とばかりに数多の赤ちゃんをスルーして、クラークだけを滅びゆく星から宇宙に逃がします。
・そのあと何だかんだでラッセルさんはゾッドに殺されるのですが、疑似人格として復活します。
 ゾッド将軍に再会しますが、「私の息子はお前より偉大だ」とか
 チクチクと親ばかぶりを発揮します。息子にも「地球を救え」とか
 「お前は英雄になる」とか、微妙に電波めいたことを仰います。
 その疑似人格を消すときのゾッドくんのつらそうなこと。
 思うに、ゾッドくんも「クリプトン星の復興」という目的のために
 誠心誠意尽くしているつもりで、かなり電波になっちゃってるし、
 ラッセルくんも「おいらの息子を生かして地球デビューさせてヒーローに!」
 という目的のために電波になっちゃってます。
 つまりこの2人、すごく気の合う友達同士だったんじゃ…。
・ちなみにゾッド将軍が狂える独裁者でないのは、
 クラークの行き先を吐かすため、ラッセルくんの妻を拷問しなかったところ、
 あと宇宙船に連行したロイスを死なせないように
 地球の大気に似た空気を吸わせてあげるところでなんとなく察せられます。
 (頭の中を読み取るだけなら宇宙船の外でやるか、死ぬ間際にサっと読めばいいのに)
・しかし多くの市民が星と運命を共にしたであろうのに、流刑にされた犯罪者が結果的に助かったのは納得いかない。
 もう資源がないー星が滅ぶーって言ってるなかで、
 犯罪者を流刑にするのに、ロケット一基打ち上げるくらいの資源を使っていますが
 手斧が2、3本あればエネルギーなど使わないのに……。
 そんな野蛮なこと麿はできないでおじゃるとか言ってるから資源が枯渇して星ごと滅ぶんですよ。
 きっと節電せずに一晩中クーラーつけっぱなしとか、冷蔵庫のドア開けっぱなしとかやってたに違いない。

・前半がクラーク自分探しの人間ドラマ。育ての両親がケビン・コスナーとダイアン・レイン。さすがに渋いし場面が締まる。
 後半が筋肉バカ戦闘。すごいんだけど、ちょっと長くて眠い。キャラ立てもないし特に筋があるわけでもない。
・激しい叱責を表すトラック破壊。相手の大事なものを攻撃するのは喧嘩の基本ですよね。
・育ての父さんに抑圧されたせいで、やや陰湿に育っちゃったんじゃないのこのスーパーマン。
・あのいじめっ子はポーキー・ミンチに似てる…。
・そして編集長はモーフィアス。顔の幅がワイドになっ…。
・特に理由のない暴力がセブンイレブンさんを襲う。
 特に理由のない暴力が人工衛星さんを襲う。
・クリプトン星人同士の接近戦は見ごたえがありました。
 早すぎてモーションが見えないあの感じ。
・しかしできればよその星でやってほしかった…地球を救うもなにも、たぶん数千人死にましたがな…。
・音速を越えたときの衝撃波って、先端に出るものだと思ってたんだけど、
 後方(スーパーマンでは腰のあたり)から出るんですね。戦闘機の写真なんかを見たらその通りでした。
・スーパーマンの実の父親のラッセル・クロウさんの疑似人格が面白かった。
 家電を集中管理するプログラムがあったらきっとあんな感じなのでしょう。

ここのところ大作映画製作費はだいたい200,000,000ドル前後くらいが多かったのですが、
この作品は見ている最中に「あ、これ2億ドルでは収まらない…」って思いました。
製作費225,000,000ドルでした。
昼間の明るいときに破壊される高層ビルがロングショットで長々映るとお金がかかるっぽい。









2013.09.03 サイトに掲載

2014.07.01 再掲載





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