「パシフィック・リム」







日本のアニメや漫画や特撮が大好きな、才能ある人が、
その手法やエッセンスを煮詰めて凄い作品を作ってくれました。

グアム沖から突如巨大な生物が出現し、怪獣は環太平洋の都市の破壊を始める。
従来の兵器は怪獣への有効な攻撃手段ではないと判断した環太平洋防衛軍は
巨大ロボット「イェーガー」を開発し、その操作は2人のパイロットが
それぞれの右脳と左脳を神経接続して行った。
ローリー・ベケットは兄と共にアメリカ所属機「ジプシー・デンジャー」を操り
無敵の活躍を見せていたが……というあらすじ。

もうこの設定!各国所属のイェーガー!パイロット2人は神経接続により全ての記憶を共有!
ロシアのパイロットとか夫婦で、旦那さんは筋肉熊なんだけど、指揮権は美人の奥さんにあるの!(パンフより)
あと中国のパイロットは3つ子!オーストラリアは父と息子!!燃えないなんて無理ですよ…。

技を出す前にぐっと溜めがあったり、仕込み武器が出る前にポーズを固めたりと、
私達が馴染んだ文法がふんだんに使われているので見ていて心地よいです。
燃える決め台詞もいあっぱいあるよ。

製作費は1億9千万ドル。
ジョニデの出ている「ローン・レンジャー」で製作費2億ドルです。
こういっては何ですがこの映画にギャラの張る俳優さんは出ていないので
お金はほぼイェーガーとkaijuの効果に使われたと思います。
物凄く贅沢なことで2度目があるかは分からないので(好きな人は)劇場で見ておくべきです。
映画館を出る時はイェーガーの歩き方になっていると思います。それって名映画だけの後遺症ですよね。

アニオタの方には吹き替えををすすめします。私は声優さんに詳しくないので分からないですが、
完璧なキャストだそうで。とりあえずアムロとシャアが出ているし、
マコは林原さんだし、あと玄田さん、千葉さん、三ツ矢さん。
私も2回目行けたら吹き替えを見たい。

小ねた箇条書きラストばれ注意

・既存作品の小ネタを一杯仕込んできているので推理する楽しみも大きいです。
 (「進撃の巨人」も偶然じゃなくてネタじゃないかな…?って思うんですよ!
 イェーガーのガイドボイスの声優さんエレンさんだし(有名なゲームのナビの声のひとらしい)。
 都市の巨大防護壁を突破されるし)
・とりあえずカプを全部書いておくと、ロリマコは鉄板として
 兄ロリ、ローリーとチャック、スタッカー司令とハーク、犬とチャック、よりどりみどり。
 しかし最大カプは博士組だと思われます。最初は喧嘩しているのに最後は認め合うカップルが2組もいる!
・雨の中の戦闘は、水の動きが機体の質量や攻撃速度を視覚的に伝え
 一種アクション漫画の効果線のような役割をしていた。
 ジプシー・デンジャーが大型船を日本刀のように構え先端を引き摺りながら歩いてくるところ、
 kaijuがコンテナを握って打撃技でくるところは、
 ヤクザ映画やヤンキー漫画のノリで大変楽しめた(笑)
・最初は「えっこれほんとうにデル・トロ監督の作品!?」って思ったんですが、
 広大な屋内空間に黄金いろの光が差したところで「おお、まさしく…」と思いました。
 監督はあのライティングが好きだな。
・要所要所で日本語が使われる。
 でも咄嗟に切り替えられなくて、つい英語字幕を読んでしまう。
 主人公は日本語達者な設定で中の人が大変だったってパンフで言ってた。
 昔の映画みたいにヘンテコニホンゴはあまりなくて、みなさんそれなりの発音されてます。
・マコのヘアメイクは、ああ攻殻萌えか…って思った。
 あと監督のヤマトナデシコドリームが炸裂しているなとも。
 「従っているのではなく、尊敬しているの」っていうセリフとか、
 あと欧米女性なら猛然と反論しているだろう所で
 涙をこらえて退席するとか。
 そっとジェスチャーで鼻血を教えるところとか、
 司令の病状を見て涙ぐんで何も言わないところとか、
 ああ、日本女性はこういうイメージなのねって逆に思った。
・ただ「先生、愛してます」という日本語は寄り目になった。
 「お父さん」とかのほうがいいんじゃね?先生が単独で敬称になるのは中国語だっけ…?
・中の人の菊池さんが、撮影がハードすぎて意識がもうろうとしてきた時は
 監督がとなりのトトロの歌を歌ってくれたそうで(笑)なんだか気絶しそう。
・ヒロインの少女時代を演じる芦田愛菜さんがすごく上手くてびっくりした…!!
・マコの過去の記憶のフラッシュバック、浴衣とかまではよかったけど、
 枯山水を製作中のマコは「おいちょっと待てや」と思いました(笑)。
・香港の基地の壁にでっかく「地面」って書いてあるのが何度も映って気になって仕方なかった。
・愛菜ちゃんが追いかけられるシーンで「萌&健太 ビデオ」って看板が目に付いた。
 看板は字体やデザイン、素材が20年くらい前の日本な感じ。なんでなんだぜ。
・日本所属のイェーガー、コヨーテ・タンゴ、すごくデザインは格好いいんだけど、
 長時間乗っていると被曝するっていう設定はどうかと思う。
 たとえ攻撃力を削ってでも、そこのところだけはすごく気を遣って造ると思うんだけどさ…!
・グアム沖がkaijuの出現ポイントなので環太平洋の21国で防衛軍を結成するのですが、
 日本なんかモロですよね。むしろ北の国の盾みたいな形をしている。
 でもグアム沖から歩いてオーストラリア(4回目の襲撃)に行くのは
 ソロモン諸島とかがすごく邪魔じゃなかろうか。などと世界地図を見ながら考えました。
 私が怪獣だったらオーストラリアには行かない。道が混んでて面倒だもの。
・博士組の記憶のフラッシュバックはスローモーションで見たい。
 あの瞬間に彼等は、お互いの全人生が見えた訳ですね…うん…。
・入るのにあんなに苦労したのに、出るのはノーチェックで簡単だった。
 宇宙人が杜撰だ……。
・そこのところはどうしようもないからいいとして、
 いきなり熱いキス大アップとかにしなかったのは大評価したい!おでこコツンなところを大評価したい!
・監督は広報のため日本に来て、スーツケース18個分のフィギュアを買って帰って行った。
・次回作あればいいんだけど、いまの成績だと苦しいのかな。
 次は各国間の紛争に使われるイェーガーと、国籍ゆえに戦う羽目になるロリマコ、
 兄の生存、イェーガーに搭乗する博士組、女子2人組パイロット、ときたところで次元の穴復活、
 結束して命令無視する各国のイェーガー乗りたち!って言う感じでお願いしますよ監督。
 設定がおいしいのでどこまででも続けられるよこれ。

ちょっと大きめのお友達は勿論のこと、
女の子も男の子も、怪獣&ロボ好きのお子さんみんなに見てもらいたいけど、
たぶんこれを見た子どもは誰でも一発でオタクになってしまうので、
夏休みの娯楽でお連れになるのは慎重に。









2013.08.14 サイトに掲載

2014.07.01 再掲載





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