「フライト」 予告を作った人がすごくうまくて、 航空パニックもの法廷サスペンスもの、とみせかけておいて、 実はアル中の再生物語でした。 「ポーラ・エクスプレス」「ベオウルフ」「クリスマス・キャロル」 とリアルCG映画を連発して、 ゼメキス監督、ちょっと実写の調子が狂っちゃったかな?というのが私の感想です。 (墜落シーンの映像はすごかったけども) いつも周囲に迷惑を掛けているアル中の人やヤク中の人は熱心に見られると思う。 ただ日本は他と比べてアル中ヤク中人口はそんなに多くないし、 アル中に寛容な国でもないし、興行的には厳しいんじゃないか。 部品の損傷から航空中に制御不能となった旅客機を、 見事なフライトテクで胴体着陸させたウィトカー機長は一躍英雄となるけれど 事件直後に採血された彼の血液から、高濃度のアルコールが検出され 一転彼は厳しい追及を受ける事になる。というあらすじ。 ラストばれ(主人公をdisります) もうこのウィトカー機長がすごいダメ人間! フライト前夜に美人のスッチーと鯨飲してろくに寝ないで遊んで 朝からドラッグ、フライト中に飲酒、 事故が起きてガールフレンドの美人スッチーが死んでもすぐに次の女をゲットして ひたすら飲酒、別れた奥さんの家に泥酔して押し掛けて相手が怯えているのに大騒ぎ、 生き延びた客室乗務員に「俺のアル中はだまっててくれ」と強要、ひたすら飲酒。 でも最後にちょっと男気を見せて断酒したくらいで 若い彼女とよりを戻して仲間に囲まれ、あんなに嫌われていた息子の尊敬を取り戻し、 「最高の人」だと言われるとか……なんでアル中ファンタジーを金払って見てるのわたし!? と不思議な気分になりましたよ。うん。 たぶん便器で頭を打った時点でウィトカー機長は死んでいて、 終盤は全部彼の見た一瞬の幻なんだと思います。 ただ、10人に1人も成功させられないような難しい着陸を彼が成し遂げたのは ドラッグとアルコールが脳に作用したおかげだと思うんですよね。 なので業務中の飲酒には、私は怒らない。彼の技術が100名ほどの人命を救ったのだし。 でもそのあとの、仲間に偽証を要求したり、友達の信頼を裏切ったり、 しょーもない嘘をつきまくったり、弁護士さんの仕事を台無しにしたりした、 あの一連は我慢できない。あとデンゼンル・ワシントンは太りすぎ。 公聴会でびしびし機長を追及してた女委員長のひとを主役にして 嘘で逃げまくる最低のパイロットを最後の非情な質問で引導渡す話にしたほうが おもしろかったのではないかな…。 それにしても人種が違うと内臓も全然ちがうとしか思えない。 飲酒歴の長い私でも、たぶんお酒に強い男性でも、日本人は ウィトカー機長みたいな、ウォッカの2リットルボトルを瓶でガブ飲み! っていうあんな風な飲み方をしたらすぐ潰れるし、 日常的にあの飲み方で更にドラッグを愛用していたら病気になって死ぬと思います。 お酒は「おいしい」または「たのしい」、と心から思えないなら飲んじゃだめだ。 2013.03.07 サイトに掲載 2014.07.01 再掲載 戻る |