「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」 映像がとてもとても美しく、 映像だけをひたすら追うのもよし、 冒険についてどきどきするのもよし、 設定について考え込むのもよしという 色々な楽しみ方のできる映画です。 モニタで見るのは勿体ないので映画館での鑑賞むき。 インドで動物園を経営する一家の息子パイは、 動物たちを売ってカナダに移住すると決めた父親と共に 貨物船に乗りこんだが、嵐によって船は沈没してしまう。 ただ1人生き残った彼は救命ボートに乗り込むが、 ボートには動物園から連れて来た虎がおり、 1人と1匹の漂流が始まるのだった、というお話。 虎がフルCGらしいのですが、もうまったく分からない。 OPの動物や、フランスの公営プール、インドの街並み、 鏡のような海面、夜の海、ともかく綺麗でした。 自然の美しさとも少し違う、けれど完全に幻想的なものでもない、 中間の美しさ。 パイはヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教を信仰する子で、 その独特の考え方も面白かったですが、それを許容する家族もまた面白かった。 パイがインド人ではなく、また監督が台湾人のアン・リーさんでなければ この映画はこんな風にはならなかったと思う。 (原作者さんはカナダ人のようですが) 唯一神、絶対神のいる、白か黒かの世界では起こり得ない物語のような。 もしかして3つの宗教は円周率と関係があるのかなどうかな…? お父さんは 「どの宗教も信じるという事は、何も信じていないのと同じだ」と諭しはしたけど、 叱ってやめさせたりはしなかった。 パイのお父さんは、いかにも知的な人という感じでお話も興味深いものが多かった。 パイの名前の由来になった世界で一番美しいプール 「ピシン・モリトール」ですが残念ながら1989年に閉鎖されておるようです。 http://haikyo.crap.jp/s/6931.html 廃墟になっても美しい。(リニューアルの話もあるようですね) 「ピシン」はインドではあまりいい意味ではないらしく「立ちション!」とからかわれたパイは、 自分で「愛称はパイです!由来は円周率です!」と自己アピール。 ラストばれ…? 虎の名前リチャード・パーカーは、検索したら不思議なお話が出てきて ポーの長編小説「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」において 脱出した4人の男のうち、食料にされたキャラクターの名前がリチャード・パーカーであり、 その47年後に実際に起こった「ミニョネット号事件」で脱出した3人の男に 漂流中食われてしまった水兵の名がリチャード・パーカーだったらしい。 お話は、2層構造になっていますが、片側がどうしても受け入れられない人もいるでしょう。 でも、ちゃんと無視してしまえるような作りになっています。 複雑な物語だけども、 虎がいなかったら生きられなかった、というパイの言葉は真実なのでしょう。 全然違いますが「落下の王国」を思い出す。 2013.02.04 サイトに掲載 2014.07.01 再掲載 戻る |