「その夜の侍」






この映画が嫌いなので、いいたいことをいいますぞ。
あとあまり明るい気分になる感想ではありません。

5年前に轢き逃げで妻を亡くした鉄工所経営者の中年男が、
出所して普通に暮らしている轢き逃げ犯を殺そうと決意し、対峙するお話です。

内容ばれ

轢き逃げ犯は頭の悪いクズなので、
すぐに救急車を呼べば助かっただろう女の人を
「血が出てないから大丈夫」という理由で放置して去ります。
出所してからも気分しだいで同僚をリンチし、石油をぶっかけたり、
人を殺したことがあるって自慢したり、
通りすがりの女の人の財布を奪ってそこの公衆便所で体と引き換え!とか
脅したりします。

なぜかリンチされた人が翌日からクズ雄(仮)のパシリになってヘコヘコしたり
暴行された女の人は自分の家にクズ雄(仮)を住まわせて面倒を見たりします。
みんな警察へは行かない。
暴力やら恫喝やらにさらされると、人間はなんかちょっと変化しちゃうというのは
知ってるつもりなんですが(むかし企業恐喝の893がよく来たので)、
それにしても登場人物のほとんどが気持ち悪く感じられました。
他に生き甲斐のない空虚な人々がクズ雄(仮)の回りに寄って行くのは、
堺さんが作中で語った火に集まる虫の話のようでした。

主人公も!出刃包丁とかそんなリーチの短い武器で、
やる気はあるの!?と問いたいです。そこは斧でしょう!それか槍!
もし私の目の前にこのクズ雄(仮)の命を断つスイッチがあったら、
BZのウルトラソウルを歌いながら押すね。
「そしてーかーがやーくウルトラソウル!」
「ハァイ!」の部分で押す。

サイコパスだったり頭が良かったり、
野望があったりDIO様だったりする悪役は、
良くも悪くも見応えがあるのですが、
この映画のように、ただ単に感受性が鈍いだけという悪役は、
リアルですけどお金を払ってまで見たくはないです。
殺意も悪意も馬鹿も理不尽も、
生活していくうえでたらふく味わうのでもうお腹いっぱいというか、
こういう気持ちになりたい時は、
最近あった悲惨な事件とその後の経過をネットで読むので間に合ってますというか。

台詞の反復や感情のブレなんかの表現は面白かったし、
役者さんの演技は間違いなく凄かった。
山田さんも堺さんも顔からして別人だった。今年一番の仕事だと思う。
(山田さんは勇者ヨシヒコとよくスケジュールの折り合いがついたなあ!
とびっくりしました。出番の短い悪の教典はともかく、この映画はすごい消耗しそうなのに)
でも役者さんの演じ甲斐と作品の面白さは比例しないことが、割と多いですね…。

昭和の邦画は意味なく女優さんがポロリーンと脱いでましたが、
最近の邦画は男優さんが意味なく裸ですね。
裸を入れると芸術度が上がったりするのかな?料理における味醂のような?









2012.12.02 サイトに掲載

2014.07.01 再掲載





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