「最強のふたり」 フランスで超超ヒットして、3人に1人が見たという映画。 事故の後遺症で首から下は一切動かせない富豪と、 ヘルパーの面接にやってきたけれど目当ては失業保険で、 真面目に働く気などない前科もちの黒人青年の物語です。 でもハンデのある人が人生を謳歌するとか、 貧しくても清く正しく生きるとか、そんなでは全くありません。 ただ、ものすごく相性のいい2人の男性が偶然出会って、 友逹になって、イエーイ!楽しーい!って笑っているような映画です。 上映館数が少ない割にクチコミヒットコースなので 都心だと、割と満席かも。 内容ばれ ドリスの全然物おじしない強引かつ素直な性格と、 面倒見のよさ、明るさの力も勿論あるけれど、 このひとたちはギャグセンスがぴったり同じなんです。中学生男子っぽいの! なので階級差とか人種の差とかをぽーんと越えて、すぐに分かりあえた。 富豪のむかしからの友達も、たぶん悪い人ではないし (ほとんど不随の障碍を持つ友逹の家に強盗の前科もちのヘルパーが入ったら、 そりゃあ誰でもああいう心配はするだろう) 新しく入ったヘルパーさんだって何か落ち度があるわけじゃない。 逆に私だったら家から金目の物を盗んでいくヘルパーさんは どんなに明るくていい子で後で反省してもお断りするし、 「これは健常者のチョコだからやらないヨ!」って言われたらマジ切れする。 (あ、あとオペラのボックス席で舞台を指さして笑いだしたら他のお客様に迷惑なので叩き出す) だから彼等は特別相性がいいと思うんです。それこそこの世でたった1人の相手レベルに。 原題は「ふれあえない人々」 でも難しいことなどない笑える映画だよー!という面を押しているようなので 邦題は「最強のふたり」でいいんじゃないかと。 ドリスは粗暴だけど老若男女誰に対しても親切で、 他の人とのやりとりも面白かった。 普通ならそんな彼に、いつしかヒロインの心も……ってなるところが (これはややラストばれですが) 美人秘書さんがバッサリと百合の人で、お断りされてしまうのとか、 フランス映画っぽいなあと思いました。 でも何回おちょくられても本気になっちゃうのが可愛かった。 「3Pなら歓迎よ」「えっ…!…こ、今晩くるよ」「冗談よ」とか、 ここで逆恨みしたり、しつこくしたりしないのもドリスの天性の長所というか、 からかいたくなるの分かるー。 そしてこの映画の最大の山場は、あのレストランのシーンではなく 髭ギャグだと思います私は。 心配して損したよ!って感じ(笑)。 実話が元になっていて、本物のドリスは最後にちらりと写真が映りますが アルジェリア系なのだそうです。 「フランス アルジェリア 移民」で検索しましたが 結構根深くて、あからさまな差別があるようです。 最近英語の「Fu○k」はフランス語の「Putain」だと覚えたばかりなのですが ドリスが「ぴゅたーん」を超連発しているのが聞き取れて何となくうれしかった。 まあ「畜生」とか「クソ」とかいう言葉ですが、ひびきは可愛いですよね。ぴゅたーん。 2012.09.06 サイトに掲載 2014.07.01 再掲載 戻る |