「トゥルー・グリッド」







コーエン兄弟による西部劇。
1969年「勇気ある追跡」の再映画化。
いつものコーエン兄弟のきつすぎるブラックユーモアや
シュールな展開は極力抑えられて、渋くて無糖の、
骨太の西部劇に仕上がってます。

あらすじ
14歳の少女マティは農場主の父親を使用人に殺され、
幼すぎる弟と、か弱い母親を残して単身復讐に乗り出します。
色々とよくない行状持ちのコグバーン保安官補を雇い、
逃げた仇を追って、居留地に向かうマティは、
途中、同じ男を追うレンジャーのラ・ビーフと出会う。

主人公の少女マティが超クール。
頭の回転が速くて、大人を相手にバンバン交渉して
自分の意思を通して行きます。
しかもちゃんと状況を見て、引くべき所は引くという
柔軟さも併せ持っているので、全然普通の子どもっぽくありません。
「無償なのは神の慈悲だけ」
しびれます。

ラストも全然甘くないのですが、
でも後味が悪いわけではなかったです。
全ての人間がしかるべき場所で自分の勇気を示し、
そして相応しい結果を手に入れ、代償を払う。
それは余人の関与するものではない。
ただ少しの間、一緒にいる事はできる。
一緒に戦うことも。
という感じ。

内容ばれ

最後の、コグバーン保安官補の夜の一連のシーン、
綺麗でした(というとちょっと意味が違いますが)。
小説的というか。
星と荒野と死体。駆ける老人。
ラストも、大抵の娯楽作品なら必ず入れこんでくる要素を
100%カットしてあって、本当に格好良かったです。
マティの払った代償と、後悔など微塵もなさそうな堂々とした立ち姿。
真似できない格好良さでした。









2012.05.07 サイトに掲載

2014.07.01 再掲載





戻る