「アーティスト」 白黒無声映画です。いまこの時代にあえて、という、 肉を切らせて骨を断つ戦法でアカデミー賞5部門受賞。 でも完全無音な訳ではなく、ここぞという時に音は使われますし、 そして無音でなければ出来ない演出もあったりします。 過去風のカメラワークや、場面ごとの暗喩など技術点は高い。 台詞がないと、人物設定や時間軸、伏線、状況など 様々な説明ができないため、 ストーリーは本当に王道の、ごくシンプルなものです。 その代りに登場人物は全員いい人で、 深刻に酷いことは起こらない、夢のような綺麗な世界でした。 モデルになる過去の人物がおり、 下敷きになる過去の名作映画があり、 古い映画音楽が使われ、映画へのリスペクトに溢れています。 獲るべくして獲ったなという感じ。 (ただ候補作に「ヒューゴの不思議な発明」とこれが両方入っちゃうのは おじいちゃん達ちょっと昔を懐かしみすぎ!と思わなくもないですが) 運転手兼執事のクリフトンが身長201センチ(197?)もある大男なのですが 痩せてらっしゃるので気付かなかった。 どうりでご主人さまをひょいと抱えてしまえる訳だよ。 そして食事の支度をしていた時は妙に体を曲げてらしたが、 そうか、キッチンのサイズが合ってなかったのか……と思いました。 犬のアギーは名演技すぎた。あれはあれだ、 仕事が済んだら二足歩行で地下鉄に乗って家に帰るだろう。絶対そう。 2012.04.18 サイトに掲載 2014.07.01 再掲載 戻る |