「インシディアス」






監督がジェームズ・ワン、脚本リー・ワネルという
「Saw」コンビの作ったホラー。
しかしどちらかといえば製作オーレン・ペリのテイストの方が強く、
びっくりに特化してあるので、後を引く怖さではありません。

子供の3人いる夫婦が新しく引っ越したおうちで
おかしな現象に遭うというお話です。

話の骨組みは「ポルターガイスト」です。
そこに「あ、これはシャイニング」「ここはキャリー」
「んー、ザ・フォッグ?」「ザ・リング2そのままだな」とか
過去名作の演出がちりばめてあって、つまりはかなりテクニカルなホラーです。
意地でも驚かそうとしてくるので、
怖がりの人はDVDも御覧にならぬ方がよいでしょう。

内容ばれ

頑張りすぎるあまり話が散漫になって
悪魔なのか霊なのかパラサイトなのか、
相手は強いのか弱いのか、
どういう法則で動いていてどうすれば撃退できそうなのかが
曖昧になっちゃっている感じです。

前半の上品な怪奇現象と父親の過去の伏線は好きなんですが……。
(あのゴミ出しに出て、窓から家の中を覗いたら
礼服の男がレコード掛けて踊っているシーンはとてもいい)
でもあの世に行っちゃったあたりからC級の世界に下降を始め、
霊と素手で殴りあったり、訪問販売を断る勢いで霊を閉めだしたり、
悪魔が赤い部屋で研磨機で爪を研いで自らを安っぽく演出したり、
窓の向こうのおばあちゃん寄生者が地方都市の遊園地のお化け屋敷レベルだったり、
色々つらかった。予算が尽きたのかしら……。
150万ドル…(あ、でもデビルマンの10分の1ちょいか…)

2004年に「Saw」が作れたんだから、もうちょっとなにかこう…!
と私などは思ってしまうのですが、
きっと今回は
「低予算でアトラクション的な映画を作ってスマッシュヒット」
がコンセプトなんでしょう…。お仕事だものね…。

おうちの怪奇現象もので「いやな予感がするの!引っ越しましょう!」
と奥さんが言って、バシっと引っ越した映画を初めて見た。
しかし原因は家ではなかったので意味がなかったうえに
また似たような怖い家に引っ越しちゃって……。
頼むから一度インドネシアに行くとか試してみてほしいよ…。
心霊的な入国審査で
「はい、ここからはランダの領域なのでキリスト教の悪魔は帰れ!」
とか言われてとぼとぼ帰るの見てみたい。

スタッフロールのあとに1シーンあるけど別に見ても見なくてもいい感じ。





2011.09.11 サイトに掲載

2014.07.01 再掲載





戻る