「ミスター・ノーバディ」




「圧倒的な才能に打ちのめされる」というような感想を読んで、
才能に打ちのめされるの好きなので見に行ったら、
どうやら私にはあまり関係ない才能だったらしく打ちのめされなかった。

下記内容に触れます

2092年、人々は不死を手に入れており、118歳の主人公は
最後の「寿命のある人間」だった。
彼はインタビューを受けて自分の人生を思い出す。
離婚した両親のどちらに付いていくか選択を迫られた9歳の主人公は
母に付いて行き、母の再婚相手の義父の娘である義理の妹と恋に落ちる。
しかし同時に父に付いて行って、パーティーで知り合った女性と恋に落ちる。
118歳の主人公には人生の全分岐、全ルートの記憶があった。

「もしあのときあの言葉を言わなかったら」
「もしあのときこの人ではなくあの人を選んでいたら」
というIFは誰もが少しは持っているものだと思いますが、
この映画の主人公ニモは、選択の数だけ人生が増えてどんどん分岐します。
バッドエンドもあって、バイク事故で死んだり、撃ち殺されたり、溺死したりもする。
メインルートは3人の女性のうち誰と結婚するかなので、
ちょっとギャルゲーの全ルート公開のようで笑った。
それでも奇抜なアイディアを映像美で見せつつ2時間でまとめたのはすごいと思う。
ザッピングしまくりだったけど色分けとか工夫があって分かりやすかったし。

見終わった後、おしゃべりしたくなる映画なのだけど、
自分が何をしゃべりたいのか整理するのに時間がかかるし
友達と喋っても着目点が違うと「…?」って平行線になるヨ!

ラストばれ箇条書き感想

・私はSF部分は全部スルー。2092年のビッグクランチとか
 9次元宇宙とかは無視!9歳の男の子の頭の中の世界だった前提で考えています。
 チェスの最初の一手を打つ前に、無限にある全パターンの棋譜を並べた感じ。
・しかし結局どれを選択しても陰気なニモの人生…。唯一楽しそうなのが
 アンナとのベッドシーンというのはどうなの。
・とりわけ壮絶なのが心を病んだエリースとの人生。
 極度に不安定な精神状態になった人は、
 相手に自分と同量の血を流させるためならもうどんなことでも言う!
 って時があるけれど
 「私は本当は昔の男を愛していたんだわ!毎日つらいのはこのせいね!
 どうしてあなたなんかと結婚したんだろう!ごめんなさい捨てないで!」
 (&道端で泣き叫んで寝ころんでバタバタ)って見てるだけでつらすぎた……。
・というか出会いのときからして地面に寝転がって泣き叫んでたギャル子を
 なんで好きになるのか、ニモの好みはさっぱり分からん。 
・やはり東洋系女性=理知的で従順というキャラ付けなのか?
 ジーンとのルートが私には一番幸福そうに見えるんだけど、
 西洋人の男性は適度に振り回されないと駄目らしい。
・全部で12ルートらしい。ニモが書いていたSF小説の世界も
 1ルートとして勘定するのかな?

とりあえず監督は「バタフライエフェクト」が好きだと思う。
あとキューブリックリスペクト?





2011.06.06 サイトに掲載

2014.07.01 再掲載





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