「崖の上のポニョ」 小説でいうところの文章が美しい映画でした。 物語というほどの物語はありません。 しかし駿監督の描かれる 万物の動きひとつひとつを見ているだけでもう満足です。 雨の中、車が発進するだけでドキドキします。 女の子が波の上を走っているだけで涙が出ます。 サンドイッチがおいしそうです。 チキンラーメンは横取りしたくなりました。 ホットミルクのところは口が半開きになりました。 ハムが(略)。 駿監督はこの世の動くものすべてを愛していらっしゃるのでしょう。 特に、やはり人間。 人間は実に無駄な動きが多いです。 無意味な移動をしたり、頭を掻いたり、 上の空で意味不明な事をしたり、重心移動をしたり。 年齢によっても性格によっても違います。 それらを丁寧に愛情もって描写してあるので まるで神様のやさしい目線で登場人物を見ているような気持ちになりました。 ゲド戦記を見る前だったらなにか違う感想だったかもしれませんが 「いい映画を観たなあ!」と私は思いましたよ。 2008.08.10 サイトに掲載 2011.08.08 再掲載 戻る |