「野田版 鼠小僧」
   「野田版 研辰の討たれ」




野田秀樹脚本演出、中村勘九郎一座が演じるシリーズです。
シネマ歌舞伎として映画館で鑑賞できます。
(ただし半額サービスの対象外であることが多いです)
2作とも非常に面白いので、御覧になる機会があれば是非どうぞ。

歌舞伎は伝統芸能だから高尚なもので、
客が勉強してこちらに合わせるんだ、こちらは動く必要がない。
という姿勢ではなく、
他のメディア、たとえば映画やゲームやドラマなどと比べても
勝てるくらい面白いものにしてやるぜ!
というチャレンジ精神とサービス精神を随所に感じました。
そして中々いい勝負をしていた。

勘違いや思い込み、その場の勢いでどんどん話が進展し
喧嘩あり、アクションあり、ダンスあり、浄瑠璃あり。
そして最初から最後までお笑いのくすぐりが続くのですが、
これが奇妙な表情や身振り手振りを使った、
古来の笑いなのです。それがまた和装とすごくマッチするのです。
(笑えるだけでなく、所々の舞台らしい演出や美術は見事です。
そして「集団」の表現が怖い。笑わされていて、
ふと気付くと怖いという、意地の悪い表現です。)
言葉はごく普通の現代語で、時事ネタも入ります。

「野田版 研辰の討たれ」では
通行人として真夜中のキタさんがちょっとだけ出てきました。
(七之助さんの余興として)
阿修羅城ねたもちょっとあった。
(染五郎へのからかいとして)考えたら全部松竹つながりなのかしら。

和服は決して機能的ではなく、
着こなして上手く動くのに技術が必要な衣装だけれども
舞台映えという点では尋常じゃありませんね。
本当に綺麗だ。
(袖や袴で物理的に面積が増えて、仕草が大きく見えるし)

三谷幸喜さん脚本演出の歌舞伎、高田馬場や
NODAMAPのお芝居は残念ながら合わなかったのですが
野田歌舞伎は何故か物凄く好きです。
もしかすると全年齢向けで、分かり易いからかもしれません。

スタッフロールの75%くらいが中村さんで、
なんか笑ってしまった。




2008.01.30 サイトに掲載

2011.08.08 再掲載





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