「サハラに舞う羽」



6度も映像化された古典英国文学作品だそうです。
普通にねたばれ行きますので御注意ください。

英国が世界の覇者だった時代。
偉い将軍の息子にしてエリート仕官の主人公は
3人の友人達、とりわけ親友のジャックと熱い友情で結ばれ、
美しい婚約者もいて、順風満帆の人生だった。
しかし反乱軍鎮圧のためスーダンに行けという命令が出ると
なんとなく怖くなり、戦争いやじゃん?という理由で除隊する。
その後3人の友人と婚約者に臆病者の象徴、白い羽を送られ
見捨てられる。
それはいいとして、戦況を見ているうちに主人公は不安になり
アラブ人に変装してスーダンに向かう。
それから友人の1人1人の窮地を救って?(半疑問)
白い羽を返していく。

サスペンスでよくある構成(1人1人殺っていく)の
善行バージョンですね。あ  でも、ともかく出てくる人が全員トンチンカンです。
世界を股にかけた、スケールの大きいトンチンカンです。
作っている人がトンチンカンなのか、
または「英国人はこんなにトンチンカンだ!」というのを
主張したいのかは分かりません。
もうちょっと考えて行動すれば全部回避できるような簡単なトラブルに
全力で間違った方向にぶつかり、傷ついて苦悩します。
その中でも一番ひどいのは主人公で、
この人にはまず感情移入できません。
何がやりたいのかもさっぱり分からない。

たとえば、戦場で重傷を負った友人に
悲鳴を上げて取り縋るのですが、
倒れた拍子に友人が持っていた手紙が落ちると、
応急処置もせず座り込んでじっくり手紙を読みふけります。
死ぬよ死ぬ死ぬ。友人死んじゃう。

それから友人のいる部隊に迫る危機を知って
その情報を知らせるのに、自分の代わりに
何の対策も立てず別人種の人を行かせてしまったものですから
その人は捕まって拷問されてしまって、結局隊は全滅。
あとで「せっかく知らせたのに!」ってキレてるんですが
どう考えても悪いのはお前だっつーの。

そんな感じで壮大なトンチンカンの炸裂する2時間。
この時代の英国は世界の4分の1を支配していたそうですが
こんなトンチンカンな人達がよくそんな偉業を成し遂げたなあ…と
ちょっと不思議な気持ちになります。

それとこの映画は
「女はちょいと顔が可愛いだけで中身はけだものだから、
崇高な理念とか誇りとか友愛とかは理解しやがりませんよ?
信頼して愛するなら男ですよ?お・と・こ!」
というある種の啓蒙ビデオでもあると思いました。




2007.06.15 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



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