ゲキシネ「朧の森に棲む鬼」



悪い! 指さして大声で指摘してしまうくらい主人公が悪い。
一見悪いが子供好きとか、犬には弱いとか
そういうレベルでなく、
老若男女等しく騙して殺す悪でした。

新感線の舞台もお芝居も一度も見た事がないかたが
最初に御覧になるには、ちょっと不向きかも…しれん…です。
「後味悪いのヘーキ!」て方にはおすすめ!

物語のモチーフはちょこっとシェイクスピア、
名前のモチーフは頼光の鬼退治から。
嘘と悪意だけを武器に、のし上がっていく男の話です。
細かいギャグも、殺陣も、歌も踊りも、美女も美男も
美麗な舞台美術も、血もお色気も、全部見られるよ!

ねたばれ

タイトルが浮かび上がるところ、綺麗ですね!ぞぞっとします。

染は相変わらず殺陣の所作が見事だった。
相変わらず色っぽかった。
相変わらず劇場の館内放送していた。いちびってた(笑)。
相変わらず顔中汗だらけだった。
新陳代謝が活発なのだな、染。

古田新太さんは美声だった。
それから染以上に色っぽかった。

キンタ役を演じる阿部サダヲさんはかなり好きです。
歌うめぇぇぇぇ!殺陣うめぇぇぇぇ!
目が見えなくなって、熊ちゃんとカップルになったあたりから
更に好きだ!

幼馴染みの女友達のことが実は大嫌いで、
その亭主を寝取って、自分の夫を殺して、
でも優しいところもあって、賑やかで恋が大好きというシキブは
女の馬鹿な所とゲスな所、可愛い所を凝縮したような人物で
演じられた高田さんスッゲーと思いました。

その幼友達のツナは
女の馬鹿な所とゲスな所、可愛い所を切り落とした人物で
これまた好演。この2者が合わさると生身の女になりますね。

所々いいシーンやナイスギャグが入って、
悪逆非道の物語をなんとか見ることが出来ました。
「プーさんです」って台詞とか
「ごめんなさーいー」とか
ギャグ的には古田さんがおいしいポジションだったかな。
イチノオオキミの
「これ(毒)を飲むからさ。あの男は、やめとけ」
って台詞はよかったなあ…。
老後を一緒に過ごすのに、あんなベストな男性いないのになあ。

啖呵、五七五、腹式発声、唱和、叫び、
訓練された声は耳にして爽快ですね。
録音再生されたものですらスカッとしたのですから
生の舞台だったらどれほどかと思います。
あ、でも「全体の構図が見たい!」と思ったらすかさず引いて
「表情が見たい!」と思ったらすぐにアップになるカメラは
今回すごく快適でした(ゲキシネ初盤の頃はそうでもなかった…)。
そのあたりはゲキシネの方が優秀ではあるかな。




2007.10.07 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



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