「マクベス」 1971年、ロマン・ポランスキー監督。 猟奇事件被害のあとの1作目という情報を差し引いても 十分に異様で、不必要なまでに残酷な「マクベス」でした。 マクダフの城で行われる虐殺は妙にドキュメントタッチだし、 空は曇天で画面は薄暗いし、 斬られたマクベスの首が視点になったカメラワークとかあるし、 ラストも微妙に変えてあって後味悪いし、 見ているだけで呪われそうというか。 (原典通りにナイフの幻覚が浮かぶところは ちょっと間が抜けていましたが…) そういえば「マクベス」は演劇関係者の間では今も 口にするのは不吉な名前らしいですね。 そもそも王侯貴族は最初から高貴な存在であった訳では決してなく 人々の中で際立って強く猛々しく、賢くて残忍な者が台頭して名を成し 現在に血筋を残しているのだなあ、と なんとなく映画を見ていて思いました。 そしてロマン・ポランスキー監督関連 猟奇殺人事件・オカルト話。苦手な人、御注意!!! 1969年に監督の留守中、カルト狂信者集団が自宅に押し入り 夫人を含めた5人が惨殺されるという事件がありました。 ところで監督はオカルト映画 「ローズマリーの赤ちゃん」を撮影するときに 実際の悪魔崇拝者にして悪魔教会の創始者 アントン・ラヴェイを出演させていますが、 夫人にナイフを刺したスーザン・アトキンスは この悪魔教会の元信者であったそうです。 ポランスキー邸がカルト狂信者集団に襲撃されたのは 悪魔教会と関わったことが原因ではなく すでに引っ越していた前の住人への恨みが原因という まったく偶然によるものなのですが。 縁を持つべきではない人物や場所と関わってはいけないなあ… という年寄りくさい感想を持ってしまいます何となく。 「縁」という考え方は西洋にはありませんねそういえば。 ところでアントン・ラヴェイは 一体どんな恐ろしい教義を作り出したんだろうと ちょっと検索してみましたが、 悪魔崇拝者の道徳として、こんな文章が引っかかりました(一部分)。 相手の同意の無いセックスをしてはいけない。 自分の物でもない物を奪ってはいけない。 自分の利益と関係ないものに、文句をつけるな。 小さな子供を傷つけてはいけない。 人間以外の動物を傷つけてはいけない。 ただし、食用にしたり、自分の身を守る等、 必用な場合は許される。 公共の場で他人に迷惑をかけてはならない。 また、迷惑を受けたら注意せよ、 聞かないようなら、ぶちのめせ。 えーと、悪魔関係なくない……? そして「ローズマリーの赤ちゃん」なのですが 昔ホラー映画ばかり見ていた頃に鑑賞して 「あまり怖くなーい」で片付けちゃった記憶があります。 しかし当時は知りませんでしたが この映画のロケにはダコタ・ハウスが使われているのですね。 1884年にヘンリー・ハーデンバーグ設計により完成した 審査の厳しい高級アパートで、ジョン・レノン夫妻の住居として有名です。 1968年に「ローズマリーの赤ちゃん」が公開され、 1969年にポランスキー邸が襲撃されたシャロン・テート事件。 1980年にジョン・レノンがダコタ・ハウス前で射殺。 シャロン・テート事件を起こした主犯は ビートルズの曲にインスピレーションを得て、 犯行現場の壁に血で曲名を書いていたそうです。 この一連、偶然でつながってぐるぐる回っているような印象。 それとも当時のいかれた人は全員、 悪魔とビートルズに傾倒していたということでしょうか? 2008.06.11 サイトに掲載 2011.07.04 再掲載 戻る |