「ザ・マジックアワー」





08年のコメディ映画として、たぶん最高のものだと思う。
(ただし三谷さんのギャグが受け付けないとか
皆が面白いと言っているものはいつも自分に合わないとか
そういう方は別にして)
笑いすぎて泣いた。
発見したんだけれども、悲しくて泣くと涙は頬の中央を流れるけど
笑い泣きすると涙は目尻から流れるんだぜ!
顔の筋肉と目の形のせいだぜ!エウレカ!
フジの手先になった訳ではありませんが、
劇場に行って、大勢で笑った方が爽快ですよー。

「有頂天」は小さな伏線がいくつもあって謎が解けたり、
登場人物がクロスしたりと、粗筋が網目状になっていましたが
今回は一本道です。そしてコメディのみの勝負。
現代のようなそうでないような、
現実のようなそうでないような街が舞台です。
そこはギャングに支配されています。

コメディというのは一旦エンジンがかかると
あとはもうずっと笑いっぱなしになるような所がありますが
ちゃんと序盤に一番面白いシーンが仕込んであるのが良い!
もう、デラ富樫を嫌いになれる人なんかいるかしら!?(笑)
でも佐藤浩市さんも素晴らしかったが、
ボケの受け手である西田敏行さんも神がかっていました。

三谷さんのギャグは感性の赴くままに作られたものではなく
思考と技術で出来ています。
反復・情報の遮断・意味の錯綜、
舞の形の、最高に洗練されたものを見せていただいている感じがします。
あと矢張り、尖ってはおらず丸く、優等生。
品を落とせばもっと笑いを取れるようなところでも、
一定以上は決して落ちない。

それからキャストが常軌を逸して豪華です。
映画の主役級の人が5秒、10秒の端役で
バンバン出てらっしゃいます。
ワンチャイ役の寺脇康文さんとかな!無理!気付くの無理!
相棒の主役様が、なんでセリフ1つのタイ人の役なのさ(笑)!
AD役の山本耕史さんもな…これから見に行く方、よく見て下さい!
「黒い101人の女」の中に中井貴一さん天海祐希さんも出てます。
鈴木京香さん、唐沢さんは分かったけどな……。
あと、故市川崑監督が監督役で出ていらして、
大物オーラを放っておいででした。

映画を見ている時間、ぱあっと笑って明るい気持ちになって
気分よく帰れる映画です。
花火とか、ナイトパレードとかああいう感じ。
たくさんの人が見るといい。
フジも三谷さんも阿呆ほど宣伝するといい。
「ロマンスの神様」とか熱唱するといい。(笑)




2008.06.16 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



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