「ダーク・ナイト」 ノーラン版のバットマンのテーマは ノブレス・オブリージュなのだと思いますが 今回も、もうあと一歩で「変態なの?趣味なの?」 と言いたくなるような、ぎりぎりのブルースの忍耐と自己犠牲でした。 そして最強の敵ジョーカー。最高にイカれていて、素晴らしかった。 「俺様は強くて悪いやつだ!悪いことをするぞ!フハハ」 「わあなんて悪いやつだ!やっつけてやるぞ!」 とか、まあそういうのも時には楽しいのですが ジョーカーのように 「それは本当に正しいのか?お前は本当にそれでいいのか?本当に?」 と隣に座って常に問い掛けてくるような、 頭の中身を揺さぶるような、魂を削るような悪役が好みです。 ヒース・レジャーの(完成作品としては)最後の役です。残念です。 ドラえもんもそうですが、空想上のアイテムが 大きな魅力を持つという種類の物語があります。 (ポタもそうですね) バットマンのアイテムも一々素敵です。 しかしあれは別に便利ではないしデザインもごつい。 では何がいいかというと、バットマンの協力者のおじさまたち、 彼等の信奉と友愛と努力+男の子の夢が詰まっているのがよいのです。 (おじさま達とバットマンの微笑ましい関係を把握するため、 未見の方は「ビギンズ」を見ておく事をおすすめします) 下記ねたばれ感想 デント検事のアゴが割れすぎているので気になった。 物干し竿でも挟むのか?くるみを割る? 協力者兼友人のおじさま達3人が相変わらずチャーミングでした。 フォックスの、恐喝者を見上げる目の澄んでいること! ゴードンのあの異様な肩の薄さと (もっと動物性たんぱく質を摂って!チキンとか!) アルフレッドの、短い言葉の裏に飲み込んだ10の言葉を感じさせる含み! ところでウェインの「ひとりでできるもん」モードと、へこんだ時の 「アルフレッドどうしよう僕はもう嫌になっちゃった」モードの目の違いも 細かいなあと思います。 ポチャンのシーンは、あんな気高い囚人がおるか!と思いましたが 人間を信じきっていたピュアなバットマンのためにも 惨事が起こらなくてよかったです。 あそこであれがあれしていたら、きっと彼は立ち直れなかったでしょうから。 彼は自分が高潔だから、人間全てを高潔補正して見てしまうのですね。 「爆発は起こらない!」って一点の曇りもなく言い放って ジョーカーもびっくりしたと思いますが、私もびっくりしたヨ! あと今回のバットマンはイン・アウトがジャパニーズ・ゴースト風だった。 犬が最強すぎる。 ナースがかわゆかった。 コインの使い方がうまかった。 それにしてもノーラン監督は本当に、言いようもなく器用だ。 しかしそろそろ「メメント」的な ブッ飛んだ構成の映画も1本撮っていただきたいです。 2008.08.30 サイトに掲載 2011.07.04 再掲載 戻る |