「シッコ」





ご存知アメリカの暴れん坊将軍マイケル・ムーア監督。
その切れ味は鈍るどころかますます鋭さを増し、
暴れのスケールもデカくなっています。
(どうでもいいけどちょっと痩せた方が体にいいぜ監督!)

アメリカの医療保険制度の問題を扱った作品です。
こういうのは情報の切り取り方と開示する順番次第で
出来が天と地ほども変わるものですが、
さすがに監督うまいっ!終盤のポエム締めもうまい!
謎の死を遂げない程度に、ほどほどに頑張っていただきたいです…。

ところで私、アメリカに公的保険制度がないというのを
不勉強にも知らず、お恥ずかしい……
民間保険のみになると医療がどんな風になるのか
目の当たりにしてびびりました。
民間の保険会社では、支払われる保険金は当然「損失」なわけで
その損失を最小限に抑えるために、
有能な職員や医師や政治家達が全力を尽くすのですな。
既往症や申告漏れや記入ミスやありとあらゆる重箱の隅をつついて
支払い責任がないと主張します。
そうするとどうなるかというと、
病気であると診断されても治療ができないのですね。
年老いて、病気になって、全財産失って、支払い能力がなくなって
ダウンタウンに捨てられて…おおお…へたなホラーより怖いです。

シーンばれ
「家屋を一周するくらい長い」という、
保険でカバーされない大量の病名一覧が
スターウォーズのあのOPのパロディで流れたところは
「監督しびれるわ…」と思いました。凄い皮肉屋はギャグも凄い。

数年前うちの者が入院して2、3週間ほど手術など繰り返しましたが、
その際に保険の有り難さというものを生まれて初めて知りました。
保険(というか高額療養費制度)がなかったら医療費は8ケタでしたもの……。
先行きはそんなに明るくないかもですが、何とか存続してほしい仕組みです。
公的医療保険制度ーすばらしいー(歌)。

(ところでムーア監督が布教映画やプロパガンダ映画を撮ったら
史上最高のものになると思います)
(有り得ないけど)




2008.11.07 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



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