「シャッフル」 「魔法にかけられて」で一躍脚光を浴びた脚本家ビル・ケリーが この作品がデビュー作となるドイツ出身の監督メナン・ヤポと組んで 勝負に出たっぽい映画。 興行的にはたぶん…いまひとつ…だったと思いますが 面白かったです! 人間の愛情と不思議な出来事がテーマ。 平凡な主婦リンダは愛する夫と娘2人と共に幸福に暮らしていた。 しかしある日突然夫が交通事故死したという知らせを受け取る。 絶望に打ちひしがれて眠った彼女が翌朝目にしたのは キッチンで普段と変わらずシリアルを食べている夫の姿だった…というスタート。 全体のあらすじは、やぼったいハーレクインロマンスのような平凡なもの。 しかし表題の現象で、ものすごい緊迫感を観客に与える手腕はさすがです。 この作品はあまり情報をいれずに御覧になるのがよいかと思います。 ねたばれー 興行的に残念な感じなのは 「ちょっと頭を使うので万人が楽しめる映画ではない」 「ハッピーエンドではない」 「唐突に信仰の話」 「このジャンルはシャマランのテリトリーだぜ」 以上4点が原因だと思います。 あらすじは本当にオーソドックスで 「若い頃の情熱を失った夫婦。夫はつい浮気しかける。 しかし妻と娘への変わらぬ愛情を自覚し、思いとどまる。 そんな矢先、夫は事故死する。 妻は夫への愛と信仰の大切さを再確認し、強く生きていく」 これが順番が入れ替わるだけで、 なぜかめ っ ち ゃ こ わ く な る の で す 。 知らない人が自分を知っていて、 パジャマでウロウロしていたら親族一同喪服で集合しているし、 覚えのないアイテムが出現したり、 傷が出たり消えたり、挙句特殊な病院で拘束されたり。 蘇ってる夫を最初に見るシーン、顔が柱に隠れていてホラーです。 ブランコに乗っている娘が振り返るシーン、超ホラーです。 夫の不倫相手がこっそり葬儀に参列するのですが、 木の影から身体を半分だけ出していてホラーです。 普通に参列しろやい。 木曜に娘の顔に傷がなかったように思ったので、 ミスかな?と思ったのですが、ネットでの意見をまとめると ■シャッフルは予知夢だよ。 (事実とは違うところもあるよ) ■シャッフルはタイムリープだよ。 木曜の夜に始まったから木曜だけは上書きされないよ。 (だから娘の顔の傷もない) ■シャッフルは多次元世界を移動しているよ。 (娘が怪我してない世界もあるよ) 概ねこんな感じに分かれるようです。 考えたのですが、 月曜明け方に木曜の夢を見て、火曜明け方に土曜の夢を見て 運命の水曜日……だったら辻褄が合うけど、手前に日曜が入るからなあ。 リンダが現象に気付くのが異様に遅かったのでそこにもハラハラしました。 映画「イルマーレ」と「ファイナル・デスティネーション」さえ見ていれば 夫を助けられたかもしれんのに…! (というか「イルマーレ」に主演しとるやろリンダ!) 火曜の夜が肝で、家に放火でもしていれば出張は取りやめだったよ。 ああでも、そうすると夫の愛情は戻らなかったかもですし、 そもそも夫が不倫一直線だったら オリジナルの一週間でも死なずに済んだかもなので 「妻への愛情を取り戻す」のと「死亡」は セットの運命だったのかもしれません。 それにしても「イルマーレ」「バタフライ・エフェクト」 「ジャケット」&「シャッフル」の中で いちばんどんくさい主人公はぶっちぎりでリンダ…。 登場人物は、リンダのお母さんも娘ちゃんも親友もみないい人。 勿論夫もいい人。夫の部下だって悪い人じゃない。 男女愛・家族愛・娘萌え、の 細やかな描写がお得意でいらっしゃるのだと思います。 本作品でも遺憾なく発揮されています。 2009.02.19 サイトに掲載 2011.07.04 再掲載 戻る |