「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」





老人の姿で生まれて、
その後どんどんと若返ってゆく1人の男性の人生を描いたお話です。
1922年発表のスコット・フィッツジェラルド作、同名小説が原作。

奇抜なプロットを安定した質の小エピソードで埋めていく手法で、
3時間作品ですがさすがフィンチャー監督、狂いがない。

下記ねたばれ

ベンジャミンの子供の頃のへたれぶりを沢山みたあとに
イケメンになったブラピがいい男ふうに振舞うと
ベ ン ジ ャ ミ ン の く せ に な ま い き だ ぞ !
と思いますね(笑)

若い頃の老け特殊メイクもすごいですが、真骨頂は
いまより25歳は若返ったブラピを出現させたところ!
あれは何…CG…?ビューティーコロシアム?
そりゃあんな綺麗なものが現れたら女は打撃受けるYO…。
あと放流した後で再捕獲すんなよな美形だから許すけど。
そして、新開発の技術で
役者の顔と別の人間の身体を合成することに成功したそうですよ。
動画のアイコラですな。
老けたブラピの頭部と小さい老人の体、
それとおそらくケイト・ブランシェットの顔と
バレリーナの体に使われているようです。
(ケイトすげえ!バレリーナみたい!と思ったんだよ……)

雷に7回打たれたひと、エンディングを含めても6回までしか分からなかった…(笑)
途中から指を折って数えてた。(ベンジャミンは5回までしか聞いてない)


養護施設がベンジャミンの家なので、お年寄りが沢山出てきます。
おじいちゃんおばあちゃん好きの人にはたまらない。
しかしあの施設の老人達の多くはどうして夜も椅子で寝るんだろう…
全員元編集者なのか。

「ゾディアック」以降、ちょっと作風に揺れが感じられるというか
自分(芸風)探しの旅をされておられるような印象。
それともおっさんの立像がもらえる賞方面を目指しておられるのか。
でも監督の作品は親切すぎるから、
賞を取るならもっと観客を置き去りにするといいと思います。
なにげに監督の作品は全部見ていて、
「game」が好きですがあれで賞は取れないだろうな。うん。

下世話な蛇足
そういえば「飛ぶ夢をしばらく見ない」という山田太一さんの小説を大昔に読みました。
どんどん若返っていく老女を見守る男性主人公、
という大元が同じアイディアなのですが
同一プロットでも、ひきだし次第でおそろしいほどまったく、
何もかも違う話になるという例だなと思いました。
(ひたすら合体小説だったように記憶)




2009.03.26 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



戻る