ゲキ×シネ「五右衛門ロック」





前半は「あれ?今回はいまいち…?」と思ったのですが
後半にすごい勢いで追い上げて、きっちり盛り上げてくれました。

いやー、北大路欣也(クガイ王)のキャラクター、
あれは格好良すぎやろー。あれは惚れてまうやろー。
やはり大御所への敬意なのか、
男も惚れるし女も惚れる、抜けたところのない完璧な造形でした。
(時々、犬のお父さんが喋ってるみたいで吹いたけど)
割りを食って五右衛門の影がちょっとだけ薄くなった。

あと「メタルマクベス」のときに「何この人うまっ!」と思った
森山未來さん(カルマ王子)も、めっちゃおいしい役でした。
5歳からダンスを始めてらっしゃるからこそのあの動き、
それに歌声も凄い。
ただ、自分の見せ場でないところでも踊り、飛び跳ね、宙返りを打ち、
「お前ちょっと献血でもしてこい」と言いたくなる落ち着きのなさ(笑)
若いってすばらしい。

動きといえば川平慈英さん(ペドロ)、
いじめかというくらい激しいダンスとコミカルで早口なセリフ、
それでも息の切れと汗が目立たなかった!
あれは数日や数週間でつく体力じゃないよー!
友達に言ったら「彼はもともと舞台役者さんだから、当然です」
とのことでした。
単に顔が濃いだけの俳優さんだと思ってましたごめんなさい。

高田聖子さんと松雪泰子さんは、お二人とも色っぽかったです。
新感線のお話に出てくる女性は、男に惚れるのもお色気も、
全部自分の意志!って感じでパワーがあっていい。
「若い悪女VS年増の女傑」というテーマで
二人が火花を散らすところの歌、松雪さんは天女のように美しく
高田さんはコミカルで凄味があって、でも愛らしかった。


(すごいねたばれ)

あの穏やかで親切で、いつもにこにこと笑って歌と踊りの好きな
先住民族が、薬物中毒による廃人だったという設定に打撃を受けましたよ。
先王が人民を支配するために行ってきたことなのでしょうか。
でもすごく幸せそうで楽しそうで、ひと目であの集落が好きになりました。
他人に支配されようとも、人間は意志とか知恵とか無いほうが
幸せに生きられるんじゃないかしら……とか、ちょっと。
(劇中では否定的な話の流れでしたけど)

そして次の人に
命渡して死ぬ
赤い血が涸れると
白い骨が残る    

ていう、あの歌、メロディラインの類型が高山音楽系?で、
悲しいエピソードにあの旋律は鉄板ですよ。すごい破壊力。
「きたきたきたー」って思っても泣いてしまいます。
(というか今思い出しただけで涙出る!どうしてくれよう中島さんめ!)
あれはクガイ王のテーマでもあって、カーテンコールでも一瞬かかってましたね。

しかしゲキシネではクガイ王の最期に変なCG?が入って
舞台では実際どうだったのかが分からなかった……。
たぶん遺体がせりあがって、その周囲でホッタラ族が輪になって歌った…?
ように見えたのですが……。
あとで友達とも言ってたのですが、変なCG?入れるのはやめていただきたい!






2009.05.28 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



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