「ノーカントリー」




あの魂のない、死そのもののような殺し屋が怖すぎる。
善良でも、ヤクザでも、成功者でも、底辺でも、
どれだけ用心しても、ドアに鍵をかけていても、
屠殺用の圧縮銃でバン!とノブを壊して侵入してくるし
どれだけ逃げても、どこまでも追ってくる。

でも殺し屋は楽しんでいないし、
自分のルールをただ真面目に守っているだけ。
幸福でも不幸でもない、痛みも愛情もない。

映画を見ている私達は
「あー、質問の答えを間違えると
このおじいちゃんは死んじゃうー!」
ってハラハラしているのですが
おじいちゃんはキョトンとして
あっさり正しい答えを言ったりとかして
現実の生死も、もし観客がいればあんな風に見えるかもしれません。

(ねたばれ)
知恵を尽くしてその殺し屋を撃退しても、
あっさりと別の死に捕まってしまうし。

しかし後半で、重要なシーンのいくつかが超・割愛されています。
現金の行方とか、結局どうなったかとか。
「それくらい注意して見てりゃ分かるでしょ」という作りなのでしょうが
ちょっと不親切。偏見ですが賞を取る映画っぽい。

原題は「No Country for Old Men」で、
よく言われているように「ノーカントリー」で切ってしまっては
全然内容に沿わないのだけれども、
長い英題だとパンチが弱くなっちゃうよー
という気持ちも分からなくはない。難しいですね。





2009.06.24 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



戻る