「イングロリアス・バスターズ」




決して反戦映画とかではないので、真面目な方は見てはなりません。

ブラピ、登場するなり「ナチの頭の皮」って3回くらい言う、
もうどんだけ頭の皮が好きなのかという変な役です。
ほかのバスターズの皆さんもサイコ揃いなので、サイコの見本市状態。
もちろんナチの頭の皮はメッリメリ剥がされるので、
繰り返しますが真面目な人は見てはなりません。

こんなサイコな人々が超ごきげんで趣味的惨殺を繰り返すストーリーは
逆に相手がナチ以外のどこの設定でも超アウトなので、
ハハハこやつめ賢いな!という感じです。
(オリジナルの「地獄のバスターズ」は、
もうまるっきり全然違う内容のようなので)

しかしあの会話と駆け引きと
ピンチとサイコと暴力で成されるリズム感は相変わらずすごい。
第一章は意外にも、映画的に美しく気品がある仕上がりですが
あれはタラちゃんの「ぼくはやればできる子ですが、やりません」
みたいな宣言だったと思ってます。
第二章以降はいつものあれ。
あ、言語ネタがいくつかあるので字幕で見た方がよいです。

ねたばれ

■タラちゃんは相変わらず女の足がすき。
■ナチ側の異常描写(バスターズよりはスケール小さい)が細やかだった。
 笑い声の異様な大きさ、感情の起伏が激しいこと、
 話に熱中すると渾身の力で相手をぶつ仕草、
 あるあるある、という感じ。
 私は食べ残したケーキで煙草を消す仕草が生理的にぞぞっとした。
■バスターズの中にイーライ・ロス監督が!しかも割に重要な役!
■突然変なキャラ紹介が入ったり、バラエティ番組みたいな人物名テロップが出たり
 妙な場面でスローモーションだったり、ゴミのようにあっけなく死んだり、
 あの調子の狂わせっぷりもたまらない。
■ランダ大佐役のひとは激演だったので、
 アカデミー助演取れると面白いですね。
■ドイツのプロパガンダ映画「国家の誇り」で
 観客が立ち上がって興奮しているシーンは
 お手本のような黒い笑いだなあと思いました。


悪趣味であるが優れている映画は
私の場合愛せるやつと愛せないやつに分かれるが、これは前者。
登場人物が(特にブラピが)ごきげんなのが大きいような気がする。
そうか、弱者の逆境&反逆を描く話でも、登場人物がごきげんサイコなら
楽しく見られるんだ!
(サイコなフランダースの犬とかサイコな火垂るの墓とか)
(いや、それって「月光条例」か)
(全員サイコな忠臣蔵とかどうだろう。
ヒャハハ!みたいな。モヒカン刈り、みたいな)




2009.11.29 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



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