「第9地区」 ヨハネスブルク上空に突如現れた巨大な宇宙船、 それは停止したまま動く様子がなかった。 突撃隊を編制した人間が恐る恐る中に入ってみると 中の宇宙人は栄養不足ですっかり弱っていたという。 宇宙船はエンストしていたらしかった。 (何 し に 来 た) そして特別地区に収容された宇宙人たちは、 健康を取り戻したものの星に帰れなくなり、 その地に住みつき、ゴミを漁り強盗を働き、 卵を産み、列車を脱線させ、やりたい放題で手がつけられない。 近隣住民とのいさかいが絶えないので、 遠方の隔離地域に移住させることになったのだが、 法で定められている手続きが必要なため 宇宙人の家を1軒1軒回ってサインをもらう必要があるのだった…。 というあらすじ。 以前にも書きましたが新しすぎる。 話の骨格が新しいので、 書類を持って宇宙人の家を訪問する役人の主人公がどうなるのか、 最初のうちは全然想像が付きませんでした。 一番いいのは情報を何もいれずに見てみることです。 風刺の利いたSF。グロ要素あり。アクション要素あり。男子向け。 ちなみに私はこの映画が好きだし (この監督の次回作にすごい期待してます) 新しいものは新しいうちに見るべきだと思いますが、 しかし万人にすすめられるタイプの映画じゃないです残念ながら…。 内容ばれ感想 最初に設定だけを知った時はブラックコメディだと思っていました。 ↓ ああ、全体的に風刺映画なのか。 ↓ ん?そっちの方面に…?。 ↓ え?なに?なんかアクションぽくなってきた…? ↓ マクロス…? ↓ こっちの大佐もしつこい! ↓ 豚!? ↓ かっけー!! シンプルに言うと 「アバター」+「ザ・フライ」かな……。 しかし「アバター」とは面白いほど対極にありました。 (エンタメSF・別の種族との共存、という同じ軸上の) なのでアバターにないもの、 アバターがあえて捨てたものがこの映画には沢山あった。 残酷シーンや、汚物、ひやりとする意地の悪さ、強烈な皮肉、 単純化されていない揺れやすい人の心、反ご都合主義とか、 作品の中にあるものだけではなくて 若さ、奇抜さ、勢い、才能、丸さやヌルさを憎む心、 破綻を恐れない勇気とか、そういう気概のようなものまで。 そう言えばニール・ブロムカンプ監督は30歳。 キャメロン監督が 「ターミネーター1」を撮ったのも確か30歳前後。 それにしてもあのアクションのラスト、 音楽も、表情も、盛り上げ役のモブもなしに ロボットの左腕が動いただけであのカタルシスはすごい。 世紀の名プレーを見たような衝撃がありました。 しかしこれ自分達が風刺されている!と認識する民族や団体が 複数存在するような気がするのですが、 そうではないことを理解されるといいな……。 予告 ティム・バートンが贈る! 「ナイン〜9番目の奇妙な人形〜」って予告が流れて 一体その作風はどうしたことだ!? と思ったら監督は違う人でした。ああびっくりした。 第9地区も「あのPJ監督が!」と宣伝しているし、 ややこしいです。 2010.04.16 サイトに掲載 2011.07.04 再掲載 戻る |