「運命のボタン」 教師の妻とNASA職員の夫の暮らす平凡な家庭に ある日突然なぞのボタンが送られてくる。 程なく、火傷で顔の半分えぐれた紳士が現れてこう説明する。 「このボタンを押せば1億円差し上げます。 ただし押せばあなたがたの知らない誰かが死にます。 期限は24時間」 2人はどうするのか……というあらすじ。 原作はマシスンの短編小説。 2時間引っ張ってオチをどうするのか、 さっぱり想像できなかったので見てきました。 感想を言うと、イ☆マ☆イ☆チ! 原作の話は(原作ばれ) 妻が押して、旦那が死ぬ。 「知らない人が死ぬって言ったじゃない!」と抗議すると 「あなたは御主人のことを本当に知っていたと言えるのですか?」 という一休さんオチ。(旦那さんはボタン押すことに反対) 映画の話は(ねたばれ) ……宇宙……が……。 (モロには出てこないが生物的に高位の存在が) 途中まではヒッチコックのサスペンスのように上品な雰囲気で、 突然鼻血を流す人々とか謎めいていて良かったのですが、 図書館のあたりから、 これもう宇宙オカルト抜きには収拾つかんじゃろ… と思ったらやっぱりそうでした。 宇宙オカルトって、繊細な演出も人間ドラマも 全部「ああうん、宇宙だね」という印象になってしまう、 調味料で言うところのカレーですね。 納得いかぬ点 「知らない人が死ぬだけでなく、家族に災厄も降りかかるヨ!」 ってルールを全部説明しないのは火星人が悪いと思う。 それで偉そうに人類批判されてもなあ。 火星にはクーリングオフ制度とか消費者庁とかないの? 図書館のあたりから水のゲートを選ぶシーンの 必要性が分からない…。 ゲートをくぐる事で人的資材になるとか、 説明書きは一瞬見えたけど、 あれ間違ったゲートを選んでいたらオチはどうするの? 妻を「傷と痛みを知る人・愛情深い母親」に描きたいのか 「衝動的で愚かな女」に描きたいのか、よく分からない。両方か。 全体的に宇宙人の能力が万能すぎて、 蟻の巣に水を流し込んでいる様を延々見せられているような感じ。 なんかもういっそ、家族でボタンを隠したり押そうとしたり 壊そうとしたり腹を探り合ったりの 家庭内アクションサスペンスコメディ巨編のほうが よかった気がする。 最後に家は全焼するけど ボタンは押さず家族は仲良し!みたいなの。 2010.05.20 サイトに掲載 2011.07.04 再掲載 戻る |