「グラン・トリノ」 モン族の気弱な少年と、 隣家の偏屈老人の友情を描いた映画。 頑固で差別主義者でマッチョ思想。 神を信じず、神父をやりこめる。 しかしそうなるに至る来歴がきちんと提示され、 嫌なやつ度合いのバランスが絶妙なもので、 不思議に魅力的なイーストウッドおじいちゃんでした。 内容ばれ 各シーンによる老人の個性の作り込みが見事だった。 分かりやすく、適度にベタで、順序過たず。 薄っぺらい作品によくある、偏屈おじいが 洗脳されたように180度人格が変わってしまうとか そういうのではなく、 彼にとって朝鮮戦争に出兵して人殺しをしたことは性格の一部であり 人種差別も憎まれ口も本人と分かち難いもので 同年代の親友と差別ジョークで盛り上がり 「次に会う時までにはくたばっていろ」 と辛辣なやり取りをすることすべてが 彼の歴史であり彼を形成しているので、それは絶対不変のものである。 ただ、「モン族の作る鳥の肉団子はうまい」であるとか、 そういうささいな認識が ちょっとだけ追加されたり改まったりするのが繰り返されて 人格というのは変わるものだと思う。 この映画の前半がすごく好きだ。 ラストばれ ただしハッピーエンドではないので、覚悟しておかないと相当辛い。 めでたしめでたしにしてくれよー監督ー。 コワルスキーじいさんの空飛ぶ家(グラン・トリノ) でいいじゃないかよー。 前半の雰囲気が好きなので後半いらないとまで思いました。 叩き壊した時に綺麗だから、 前半が繊細に作られているのは分かっちゃいるのですが…。 関係ない話 アメリカって田舎でもあんな治安の悪いところがあるの!? 昼間に男女2人で歩いていても、 ちんぴらに絡まれて拉致られたりするの!? そりゃあ銃が必要な訳ですよ。 私だったら念のため2丁持ちますよ。 弾丸ベルトをランボーみたいにナナメたすき掛けにして歩きますよ。 ああいうチンピラ集団は 銃器メーカーが養殖して放流でもしてるの??? 奥さんラブで、 「世界で一番の女性」と呼んで憚らないおじいちゃんでしたが、 でも奥さんは気苦労で早死になさったと思う……。 2010.06.11 サイトに掲載 2011.07.04 再掲載 戻る |