「イヴの時間」




劇場で予告を見た時は
おとなしくて可愛くて働き者で献身的な美少女型アンドロイドが
御主人様の高校生男子を一途に愛していて、
主人公も葛藤しつつアンドロイドを愛するようになる……
という感じの、いつものあれかと思っていたのですが、
おすすめで貸して頂いて鑑賞してみたら
キャラクターこそ意図的にそういう系に似せてあるものの(おそらく)
案外ロボット三原則のがっつり出てくる、
エピソード勝負のSFでした。

店の表には看板も何も出ていないカフェ「イヴの時間」。
そこでは人間とアンドロイドは区別されず、
アンドロイドの頭上に必ず表示される識別のためのリングも
店内では視えない。
家事用アンドロイドの行動記録を追って
その店を訪れた主人公とその親友は
店内にいる老若男女が人間かアンドロイドか区別のつかぬまま
彼らと交流を深める。

下記内容に触れます。

劇場版は、配信していた短編集をつなぎ合わせたものだそうですが、
気付かないくらいスムーズでした。
あの、どー見ても人間に見えない「なんかすごいの来たー!」
って言いたくなるような外見超ロボットの方を相手に、
彼が自己矛盾を起こさないよう気遣って、
人間のふりが成功していると思わせるための会話をする主人公と
その友人のエピソードが好きです。

あと良かったのは、やっぱりラストのマサキくんのエピソードかな。
親の命令は子の命令より優先されるので、
子がアンドロイドへ傾倒するのを心配した親が
「もう子供と喋ってはいけない」と命令したら
どんなに子が傷付いても泣いてもアンドロイドは喋れないという話。
なるほど、と思った。
命令の優先順は最初に設定するのかな。
家長→配偶者→お年寄り→子供年長→子供年下とか。

全体的にこの世界のアンドロイドには全て感情があるようです。

監督は1人でアニメを作っていた人で、
「イヴの時間」は少人数で作成したアニメらしい。二十代で。すごい。




2010.08.20 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



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