「オーケストラ!」


かつては天才指揮者として名声を馳せた主人公は、
政策に非協力的だという理由で楽団を追われ、
現在は劇場の清掃係をしている。
ある日パリのシャトレ座から、ロシア・ボリショイ交響楽団にあてて
演奏の依頼FAXが入っているのを見た主人公は、
同じく30年前に楽団を追われた仲間達を集め、
現在のボリショイ交響楽団になりすまして
パリで公演を開こうと決意する…というあらすじ。

えっロシアの人ってこんなに大味なの!?って
びっくりするシーンの連続です。
そもそも計画からして無茶ですが、
楽器も持ってなくてブランク30年!?みたいな人達が、
しかも海外旅行に舞い上がってパリの街に消えて戻ってこない(笑)。
泥臭いギャグシーンが続きますが、
最後でぎゅぎゅぎゅーっと異常な収束力で締まっていって
完璧な終わり方をします。
あれは見事だった。劇場で見ればよかったと思いました。

チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」が印象的。
(というか曲の力がかなり映画に影響している)

ラストばれー

■序盤の、結婚式でギャングが銃撃戦を始めたりのあたりは正直
 「えー…」ってテンション急降下だった。
■親友のサーシャめっちゃいいひと!
■奥さんもめっちゃいいひと!
 「これ以上(夫の)邪魔したらタマを引き裂いてやる」って
 歯を剥き出しにして威嚇したところ、雌豹でした。
■空港のロビーでおおっぴらに偽造パスポートを作って
 1冊1冊配布とか! どんな世紀末無法空港なのよ。
■パリって共産党員にとって、なんか聖地らしい。
 そして現在は当時の権勢の見る影もないらしい。知らなかった。
■ロシア人は貧乏で下品な田舎者
 ロマはうさんくさい、フランス人は潜在的HOMO
 ユダヤ人は金の亡者、日本人は常にニヤニヤしてるビジネスマシーン
 とか色々、きつめの民族定番ネタが炸裂。
■のだめのマルレオーケストラのひどさも奥歯がぎゅっとなりましたが、
 こっちのチャイコ出だしは、酷さが更に自然だった。
 いかにも技術のあった人が練習をさぼった、なれの果て風だった。
■コンマスに一番驚かされた。
 なかなかいい演技する俳優さんだな!と思ったら
 俳優じゃなくてヴァイオリン奏者だったー!!ひゃー!
 じゃああのパガニーニもセルフ演奏か!かっこいい!
 (「タラフ・ドゥ・ ハイドゥークス」所属、カリウ氏)
■真相は、99%のひとがミスディレクションに引っかかると思う。
 私も「えっ?」ってなってチャイコの冒頭からもう一度見ました。
■もたもたした出だしで、急激に美しくなって終わるって
 映画と曲が完全一致していて見事でした。
 曲の途中で過去の出来事や
 その後の楽団員たちの映像を全部流してしまったのは
 テンポ重視するなら正解だと思います。
 (あれみんな亡命しちゃったのかな?めっちゃエンジョイしてんの。
 共産党員のおっちゃんが犬とか連れてんのがかわいかった)




2011.05.31 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



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